第84話 第二ゲーム顛末

 薫子たちが明石駅前タクシー乗用ドローンタクシー乗り場から飛び立ったその後、大阪湾周辺のNPCたちはパニックに陥っていた。

 地上車は大渋滞により道路が機能不全に陥り、中央環状線などは取り決め通り一般車両の通行が禁止される。


 六甲山に登ろうとする者の列ができ、ロープウェイまですし詰めとなる。


 政府のシミュレーションでは六甲山北側の神戸市北区や三木市、西脇市、三田市あたりは一次被害は免れそうだということでそちらに向かう者も多かった。

 地下鉄や電車もフル運転で北へ運ぶ。


 徳島県、高知県、和歌山県、香川県などは比較的近距離に500メートルを超える高地が多く、2時間あれば大半の人が避難できそうである。

 普段から南海トラフに備えた避難訓練も役に立ったかもしれない。


 逆に人口が多く、ほとんどが平地である大阪府中心部や淡路島などの避難は困難を極めた。


 500メートルの津波というと300メートルしかないあべのハルカスなどは簡単に飲み込まれてしまう高さである。

 それ以前に津波の破壊力で一瞬で破壊されてしまうだろう。

 

 昔、「2012」という映画があったが、あれのミニチュア版の「シビアコンディション」が現実に起きるのである。


 令和5年においても多くの市町村でこの「シビアコンディション」への対策が立案されている。[実話]


 淡路島の最高の標高は諭鶴羽山(標高609.7メートル)であり、500メートルの津波が押し寄せた場合にとても安全とは言い切れないが、この山頂付近に逃げるしかない。


 あとは明石海峡大橋か大鳴門橋を渡って本土や四国に避難するわけだが、2時間では渋滞も必ず発生するだろうからかなり厳しいものとなる。

 

 そうなるともはや理論値の500メートルに達しないことを神に祈るしかないだろう。


 

 2時間後、放射性物質を大量に含んだ高さ500メートルの海水が大阪湾周辺を飲み込み、逃げ遅れたおよそ500万人の人命が失われた。


 かろうじて助かった人も海水に浸かってしまった人は被曝することとなり原爆症に長年苦しむこととなり、大阪平野と瀬戸内海を中心とする沿岸都市、放射能汚染された土地はこの先100年、人が住めない土地となってしまう。


 

 ここで第二ゲームシュミレーションは終了した。


 薫子たち120名は全員生存、デスゲームクリアである。


 なお、第一、第二ゲームでポイントの高かった上位10名は楽しい楽しい「タコゲーム」に送られることになる。


 次回、「エマの悲鳴、タコゲーム」

 

 注、予備知識は「タコゲーム」で検索。

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