一族最後の戦い

ぶらボー

決意の海岸

 深夜、月明かりに照らされた海岸。吹く風は涼しく、波が砂を打つ音が心を癒す。


 ウラシマ・ディアボロス・ダイゴロウはこの海岸に散歩に訪れていた。会社勤めで火照った心身を鎮めるためのルーティーンだ。海岸の付近はド田舎であり、残業で青ざめている管理職も、騒音を撒き散らす暴走族もいない。ダイゴロウはこの海岸とこのひと時を愛していた。


 ふと、正面の遠方から騒ぎ声が聞こえる。声変わりしていない少年が複数か。さらに歩いていくと状況がわかった。5人の少年が一匹のウミガメを殴る蹴るなどして虐めているのである。


「よさないか君たち!」


 ダイゴロウが声をかけると、少年たちははしゃぎながら逃げていった。ぐったりとした亀にダイゴロウは近づく。


「よしよし、もう大丈夫――」


 ダイゴロウは亀に手を伸ばし――




「などと言うと思ったかぁあああ!!!」


 ――前脚を掴んで豪快な一本背負いを決めた!


「グワーッ!」


 亀に342のダメージ!


「貴様、竜宮城の手の者だな?」


 ダイゴロウの目が憤怒の炎を宿す。


「な、何故わかった!」


 亀は派手に転がってなんとか裏返しの状態から立ち直る。


「俺はウラシマ・ディアボロス・ダイゴロウ……貴様らが弄んだ浦〇太郎の子孫だ! 答えろ、何故ご先祖様は竜宮城から帰ってきたら知り合いはみんな死んでる、玉手箱を開けたらジジイになるといった仕打ちを受けなくてはいけなかったのだ!」


 鬼気迫る表情で問うダイゴロウだが、亀は不気味な笑みを浮かべる。


「くっくっく……思いあがるな小僧! 貴様如きがあの時の真実を知るには5000兆年早いわ!」


 いつの間にか亀の後ろに先ほどのガキどもが戻ってきている。今更だが先ほどの騒ぎは狂言だったのだ。


ァ!」


 ダイゴロウの裂帛の気合により着ていたユ〇クロコラボTシャツが裂け、恐るべき大胸筋が姿を現す!


 かくしてここに浦〇一族最後の戦いが始まろうとしていた!


(続かない)

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