俺は浮気をした。

嶋田ちか

すべて俺が悪い

俺は浮気をした。


それも、妻が夜勤で不在の間に家に浮気相手を連れ込んだ。

認めよう、俺が完全に悪い。


浮気をするにしてももっと上手くやるべきだった。どちらの女性にも申し訳なかったな、反省反省。


妻と寝ているベッドで浮気相手と致してたのだが、その最中に妻が帰宅した。

2人とも全裸で土下座。浮気はしているが、離婚はしたくない。あれはただの遊びのつもりだったんだ。


妻はどちらかというとヒステリックになりやすいタイプだと思っていたのだが、そういえば今日は冷静だったな。


「この方と話をするのであなたは外に出てください」


そう言われて今に至る。


時刻は深夜。

ラーメン屋でも空いていればよかったんだが。


人気のない公園のベンチに座る。


なんとか許してもらえるだろうか。そうだ、あいつが欲しがってたブランド物のバッグを買うのはどうか。誕生日も近いだろう。


値段は…どれどれ、おお、だいぶ高いな…


まあでも罪滅ぼしと思えばいけるか?ボーナスもそろそろ出るし。


そんなことを考えていたら、ピロン、と通知がきた。


『たさかた』


浮気相手からだ。


たさかた?なんの事だ。あいつふざけてんのか?


「話し合いは終わったのか、っと」


送信。


ピロン


今度は妻からだ。


『話終わりました。家に帰ってきてください』


ピロン


また浮気相手。


『かたやだま』


訳が分からない。

とりあえず話は終わったのか?俺は帰ればいいのか?


ブランド物のバッグの購入画面をスクショし、立ち上がる。


これを見せれば少しはポイント稼げるだろ。


深夜の住宅街を歩く。


どこも電気が消えていて、少し先に見える俺の家だけが明るい。


「帰りたくねえなー」


ぽつりと呟くも、結局は自業自得なので帰るしかない。


そうこうしてるうちに家の前までたどり着いた。


「今帰ったぞー…」


そう言いながらドアを開けると、そこには地獄が広がっていた。


全身血だらけの浮気相手。


そして、同じように全身血だらけの妻。


「あ…」


言葉が出ない俺の方に妻がにこやかに近づいてくる。


「お仕置、しましょうね」


右手には赤い出刃包丁。


そうか、あのメッセージは、


俺の記憶はそこまでだ。













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俺は浮気をした。 嶋田ちか @shimaenagon

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