夜の日課

翠雨

第1話

 夜の寒さも和らぎ、春めいてきた今日この頃。夜のちょっとした肌寒さも心地良い。


 ふぅ~。気持ちのいい夜ね。


 身体を伸ばしながら、いつものコースに歩みを進める。

 まずは、車通りの激しい大通り。朝から夕方までは、多くの人が行き交っているが、今はほとんどいない。おしゃれなお店もひっそりと静かだった。


 ここの歩道は広いから、歩きやすくて好きよ。


 車が行き交っている。昼間よりは幾分か速度が早いように感じる。


 あの車のライトだけは、なんとかならないのかしらね。眩しくって仕方がないわ。


 カフェがある交差点を優雅に曲がっていく。


 この先にお気に入りの公園があるのよね。


 大通りから、そう遠くないところに公園の入り口はある。そこから入り、私だけのコースを歩く。


 私のお気に入りのルートよ。


 あら?いつもはみない顔ね。

 イケメンでいい男じゃない?

 でも、軽い女だって思われるのは、不本意よ。ここは無視ね!

 彼は私の隣を歩き始めたわ。肩が触るんじゃないかってくらいの距離で、少しドキってしちゃったけれど、顎をツンと上げて通りすぎたわ。

 とっても、いい女でしょ。


 公園のお気に入りのコースをじっくりと堪能したあと、繁華街に向かう。

 きれいに足を揃えて座って待っていると、食事が届けられた。


 今日も、美味しいわね。でも、いつもよりは量が多い気がするわね。


 お腹がいっぱいになったし、少し寝ようかしら。


 心地の良い自分だけの場所に戻り、ウトウトと微睡む。




 都会の喧騒と小鳥のさえずりが混ざる時間。

「ミケ~!!」


 あら?呼ばれているわ。


「ミケ。今日のご飯。残さず食べるのよ。」


 わかっているわよ。もったいなくて残すなんてあり得ないわ。


 あらら?ちょっとお腹いっぱいね。全部食べるの、ちょっと大変だったわ。


「あれ?ミケ。何かつまみ食いしたんでしょー。ご飯前に食べたらダメだって、いつも言っているじゃない。」


 何でバレるのよ!?

 ママにいつも怒られるのは、貴女じゃない。


 それにお腹いっぱいまで食べたんだから、あれはつまみ食いじゃないわよ。ふん。



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夜の日課 翠雨 @suiu11

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