金谷崎高等学校編

第2話 金谷崎高等学校編①

キーンコーンカーンコーン


キーンコーンカーンコーン。


チャイムの音。

__教室

「つまらない日常。鬱屈とした毎日。

毎日が私の敵。毎日が怖い。誰も手を差し伸べて

くれない。」

机にうつ伏せになる私。絶望し切った表情をして

いた。生きた心地がしない。

__と、思った矢先。クラスメイトの一ノ瀬日菜が

私の眼前に手を伸ばした、そして、冷たげな口を

開いた。

「未来、金!!」

「え……ごめんなさい、もうお金無くて」

「は?」

理不尽な怒り。私は何も悪い事していないのに、

一ノ瀬日菜を含めた周りの人達はそれを許そう

ともしない。私に対してありったけの暴言を

吐き散らした。

「あのさ、金くらいしか持って来れねーゴミが

何言ってんだ?」

私の髪を引っ張るこの男は、高井雄二、日菜の彼氏だ。私は、この学園に入学してすぐにいじめは始まった、それは何故か、私の前にいじめられていた子が

居て、それでその娘を庇ったら、私までが狙われる

羽目になった。でも、間違った事はしていない。


お父さんが昔言ってた

「誰かを貶めてまで、強くなる必要はない」

って。

そして、続けるように、お父さんは、

「誰かを困らせてまで、強くなる必要はない、

弱いままでいい。人は強くなると痛みに鈍感に

なる。弱さを知れば、人の痛みに共感する事が

出来る、その人の涙を理解する事ができる、

お前はそんな子になりなさい」


__葬式会場

お経を読むお坊さんと、真顔をした大人達が

父親の遺影を真っ直ぐに見つめていた。

「……何で、何でよ、お父さん、何で私を

1人にしたの。嫌だよ、嫌だよ!!!!!」


父は、えげつないくらいのパワハラを受けていた

会社いじめという奴だ。サビ残当たり前。

奴隷のように、働かされていた、精神も徐々に

擦り減っていき、そして、父は会社のビルから飛び降りた。まだ、朝の5時だった。


「ねぇ、お父さん、強くならなきゃ、誰かに

貶められる、誰かに困らせられる、……ねぇ、

お父さんが言う、あの言葉は何だったの?」


__教室

「おい、ゴミぃ、その舌でよ、ここの汚ねぇ

教室の床舐めろよ」

「……え」

「早くしろよ、じゃなきゃ殺すぞ」

「……はい」

私は、犬のように床を舐めた、バターを舐める

犬のように。唾液がじんわりと床に浸っていく

よだれのせいか、床が少し明るくなった。

「クックッ……アッハッハ」

「雄二ってば、最低、ちょーウケる」

「……金がねぇからな!見せもの小屋みてぇに

するしかねぇーだろう、アッハッハ」

先生が教室に入って来る。私と目が合ったのに

何も言わずに、黒板にチョークで何かを書いてた、

大きく、"転入生"と、

「え、マジ?」

そして、クラス中が、ワチャワチャと盛り上がり

始めた。そうすると一ノ瀬が、口を開けた。

「黙れ!!!」

クラスはシーンとなった。そうこのクラスには

掟的なのがある。それは何か、この一ノ瀬×高井に

逆らってはいけないと言う。

クソくだらないルールがある。

「じゃあ、……次郎くん入ってきて」

「……」

「では、自己紹介を」

「山田次郎と言います、柿桜高校から転校して

参りました!好きな教科は"現代社会"です!!!

宜しくお願い致します!!」

そして、次郎は、クラス中に視線を向けた、

あの子か……。床を舐めている、ずっとだ、

俺に視線を向けずに、夢中で舐めている。

そんな、俺の視線に気がついたのか、高井雄二は、

俺の目の前まで来て、口を開けた。

「くだらねぇ正義感とか一番いらねぇからな……」

俺は、ニコニコと笑いながら。

「何が?」

「長生きしたかったら、触れちゃダメな事も

あるって事よ……」

「へー」

心底どうでもいい。そして、俺は床を舐めている

彼女の所まで近づいた。

「お腹壊しちゃうよ」

私は、視線を上げた、今まで誰1人として心配

なんかしなかったクラス。

「え?」

不思議そうに視線を上げる彼女、

それを優しい目で見つめる次郎、

「舐めるの辞めな」

その瞬間に、高井雄二は次郎の腹を蹴り、

油断していたのか、次郎は教室の端の方に

吹っ飛んだ。

「お前何を聞いてたんだ?俺言ったよな、

くだらねー正義感は無しだってよぉ……」

「これが正義なら、お前らは何なんだ?」


次郎の目は、ドス黒い何かに覆われていた。




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いじめられっ娘を救う青春物語 @himonoohanashi

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