彼女がいるのに、初恋の人がまた僕の前に現れてしまった件
牧之原 渡
第一章 全ての始まり
第1話 再会
僕に初めて気になる女の子が出来たのは、小学4年生になったばかりの事で、それは僕の初恋だった。
そのきっかけはただ単に廊下ですれ違ったこと。
それだけで恋に落ちるのかと思う人もいるかもしれないが、彼女はそれだけの物を持ち合わせていたのである。僕は彼女のその存在、雰囲気に一目惚れしたのだ。
その彼女の名は伊波 由夢(いなみ ゆめ)、艶があってサラサラのロングヘアーに、
小さな顔、美しく高い鼻、さらにビー玉のようにくりっとした目は、小学4年にしては整い過ぎていたし、小学4年の僕を恋に落ちさせるのには十分だった。
その頃から人と仲良くなるのは得意だった僕は、違うクラスだった彼女に話しかけてみところから始め、順調に彼女との交友を深め、小学5年に上がる頃には、放課後に一緒に公園に行って遊ぶような中になっていた。しかし、僕たちが仲良くなって1年経った小学6年生、小学校最後の学年の始業の日、その日を境に、突然彼女は音沙汰も無く学校から転校し、僕の前からも消えてしまった。
あとから聞いたが、噂によると彼女は親の転勤やらなんやらで、転校してしまったらしい。
なんで僕に言ってくれなかったのやら...
小学6年生の間、彼女のことをずっと忘れられていなかった僕だが、時間の流れというもの、子供心というものは不思議なもので、中学入学の頃には彼女に対する恋心はさっぱり無くなっていた。
ここで自己紹介をしよう。
僕の名前は丸谷 和葉(まるたに かずは)、れっきとした高校1年生である。
自分で言うのもなんだが、容姿は中の上、学力も中の上、運動神経も中の上で、全体的に中途半端だが、中学校で出会って付き合っている彼女もいて、かなり生活は充実している。
そんな中、2学期も終わりに近づいた今日、事件は起きた。
夏の暑さもいつしか秋の紅葉に染まっていき、生徒も少しづつ長袖を着る機会が増えた、そんな今日にだ。
僕はいつものように5分前に教室に着くと、一昨日席替えしたばかりで、まだ景色に慣れていない教室の最後部の座席に腰を下ろして飄々としていた。
そんな風に始業を待っていると、いつもよりワクワクとした顔で入ってきた入ってきた担任が嬉しそうにこの一言を言った。
「今日、転校生が来ます」
朝の朝礼で唐突に担任が言った一言は、クラスを大いに盛り上がらせた。
男子と女子どっちなんだろうと盛り上がっているクラスメイトとは裏腹に、朝の眠さも相まって、そんなに転校生に興味がなかった僕だが、僕は入ってきた転校生を見て、興味を奪われることとなる。
ドアの外にいた転校生招き入れて再び教卓の前に立った担任は
「じゃあ転校生を紹介するぞー」
と、言い入口の引き戸の方に手招きをした。
そうすると、
艶があってサラサラなロングヘアーに、小さな顔、美しく高い鼻、さらにビー玉のようにくりっとした目を持ち合わせた美少女がゆっくりと入ってきた。
もちろんクラスは大盛り上がり。
あまりの美しさに逆に黙り込むものまでいた。
僕としても最初はその美貌に目を奪われたが、その顔が、自分の見覚えのある顔であることにすぐ気がついた。
「今日からこのクラスに入ることになった、伊波 由夢さんだ。みんな仲良くしてやってくれ。」
先生の一言に、僕の思考は一時停止した。
えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
そうだ。あの周囲の人を凍らせるような美しさは、彼女で間違いない。
「旭ヶ丘第1高校から来ました。伊波 由夢です。これから半年間、よろしくお願いします」
その転校生は正真正銘、僕が小学4年生の頃にはじめての恋に落ちた、伊波 由夢だった....
そうして、冷静さを失っている僕とは裏腹に、
「じゃあ伊波、後ろの空いてる席に座ってくれ~」
という先生の転校生に対するお決まりのセリフによって淡々と、他の生徒のタダならぬ視線の中、伊波 由夢は無言で僕の隣に座るのであった。
その瞬間、僕には男子から刺すような嫉妬の視線が確かに向けられたが、
そんなことはつゆしらず、僕は彼女と目線を合わせないようにするのに必死だった。
彼女を見たら、また目を奪われてしまう気がするのだ。そんなこと、僕の事を信頼して付き合ってくれている僕の彼女に対する冒涜ではないか....
それぐらい、伊波 由夢の外見の破壊力は凄まじかった。
この伊波 由夢との再会が、僕の高校生活に大きな影響を与え始めることとなる。
彼女がいるのに、初恋の人がまた僕の前に現れてしまった件 牧之原 渡 @nao0727niku
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