第15話 真夜中のトイレ

 何となくイヤだ!

 いや絶対に行きたくない!

 特に夜中の2時頃は怖いんだよ!


 夜遅くに寝るときは、なるべく水分補給は控えている。そして出来るだけ24時前にトイレを済ませておく。夜中にトイレに行かないように・・・・・


 夜中のトイレが好きだなんて言うヤツがいれば、そいつは間違いなく吸血鬼や人間以外の存在である。


 特に真夜中の2時前後は、命が惜しければ、絶対に避けるべきである。2時にな招くるとあの個室は霊界と繋がる扉が開かれる。


 万が一どうしても行かざるを得ない場合は、決して天井を見てはならない。天井からは逆さ釣りの女性の霊が多い。見上げて目が合うと、そのまま天井から別の世界に連れ去られる。


 後ろはけっして振り返ってはならない。洋式トイレの後ろにも必ずいる。振り向いた場合には、やはり必ずや連れていかれる。もちろん2度とこの世界に戻れない。


 トイレのドアは必ず開けておこう。トイレと繋がる廊下や部屋は、照明を必ず点けておくように。


 また、下も絶対に見てはならない。穴から覗く血色に染まる瞳、伸びる手を見たらもう最後である。


 終了後は後ろを振り返らず、後ろ手で水を流しサッと出る。できれば除霊の呪文などを唱えながら出ることを進めたい。


 トイレを無事に出たからといって、間違っても安心してはならない。布団やベットに入る前に、膨らみが無いか確認しよう。


 ドアは開いているので、布団やベットの中で待っている場合もある。不幸にしてベッドに不自然な膨らみがある場合は、朝まで待とう。徐霊の呪文を絶やさず唱えながら・・・・・


 年間、何十人も夜中に消失している。夜中のトイレに入ったままに。当然に日本だけではない。地球上のすべての地域で起こる霊障である。


 今日も、きっと目が覚める。

 なぜか必ず2時少し前に。

 がまんなど絶対にできはしない。


 溢れ出る尿意と凍りつく心。愛しき者たちとの今生の別れになるかもしれない、決意のときが来た。


 震える手で前を押さえ、さあ除霊の品を身につけ、呪文を唱えながら霊が待つあの場所に出かけよう。


 明日の朝陽を信じて・・・・・

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