第14話 電話
電話が鳴った、こんな遅い時間に。
時計は1時過ぎで凍りついていた。
まったく失礼な奴だな、こんな夜中に。
聞こえないふりで、頭から布団をかぶった。
鳴っている。まるで呼んでいるように。
4回目のコールでベッドを出た。
鳴っている、まるで呼んでいるよう。
着信音が違う。いつもの「星に祈りを」ではない。
秋の終わりを悲しむ虫のように、細く小さく、しかしはっきりと・・・・・
親しい者が亡くなった夜には、ご挨拶に魂が訪れる。そんな話をふと思い出した。
鼓動に針を刺すような胸騒ぎを抑えて、受話器をそっと掴んだ。
耳に当てたが何も聞こえてこない。
「モシモシ、モシモシ」
声を送った。
「はい・・・・・」
女性がそっと囁いた・・・・・
「何でしょう?」
こちらから言葉を投げたが、
「・・・・・・・」
沈黙が流れたまま、電話がカチャンと切れた。
また着信音が流れる
「モシモシッ、モシモシッ」
強めの言葉を投げつける。
「はい・・・・・」
やはり先程の女性である。
「いい加減にしてください」
叩きつけるように電話を切った。
また着信音が呼んでいる。2回3回、4回目のコール。握り潰すような力で受話器を掴んだ。
「ふざけるな、いい加減にしろ」
「はい・・・・・」
女性の声が囁いた。
受話器につけた耳ではなく、
背中が・・・・・声を受け止めた・・・・・
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