第8話 エントゥルーフ帝国

ガルタナ王国騎士団長、フレイアに付き纏われた後のお話。



「全くあの雌犬、許せませんね!!」



「連日でこの疲労はおかしいだろ…この後ずっとここにいてもまたこんな事起こりそうだから次の国に行く事も考えた方が良さそうだ。」


ガルタナ王国の隣国であるエントゥルーフ帝国は物語の中でも2番目の大きさを誇る大国であり発展もしている為、かなりの時間を費やす人もいる。そこはキャラ全員が平均して強いわけではないが、敵や味方で稀にLevel50以上の者が現れる可能性ある。


実際俺も、最初の草むらでかなりレベル上げするような部類だったし、ガルタナ王国にいすぎたと思っていた。


「よし、フレイアにはああ言ったが、エントゥルーフ帝国に行くぞ!」

 

「はい!」








–エントゥルーフ帝国–


「お客さん、帝国に着きましたぜ。」


「あぁ、ありがとうございます。ヘルム行くぞ」


「むんん…レオン様ぁ」


「ひっつくな!起きろ!」


いざ、目の前にすると大層でっかい門だなぁ

門の前で待ってる兵士もゴツいし…



「通行証は?」


通行証は各国で違い、発展している国ほど高い。エントゥルーフ帝国では銀貨5枚を要する


ちなみにワルデザの銀貨5枚は日本円で5000円もする。

高っ!と思うかもしれないが、俺も1周目はここに来るまで結構な時間を要した。

他の硬貨を日本円で表すとこうなる。


      紅金貨(1000万円)

      白金貨(100万円)

黒金貨(10万円)

      金貨(1万円)

      銀貨(1000円)  

      銅貨(100円)

      鉄貨(10円)


ちなみに紅金貨は一国の大貴族やら王様などしか持っているところを見たことがない。

たった1枚で1000万なんて庶民が持ってたら

すぐに何者かによって暗殺されるだろう




無事、入国が許可されてまずは宿屋のお金を確保する為に冒険者ギルドに寄ろう。もう空き家生活はごめんだ



「ようこそ、帝国冒険者ギルドへ、どういったご用件でしょうか。」


「冒険者登録の手続きをしたくて、たった今ガルタナ王国から来たので」


国から国に移るにあたって、通行証の発行や冒険者登録の手続きなど少し面倒なことが沢山ある。


「ではお名前を聞かせてもらえますか」


「レオン=グラーヴ=シドラです」


「レオン様…あぁ、ありました。つい最近D級からB級へ昇格したんですね!飛び級をする冒険者は中々見ないのでびっくりしました…」


「!?」


フレイアが何かやったのか…?


「魔王軍との交戦と書いてありますね…心当たりありますか?」


フレイアじゃない…カニスだ…っ


「心当たりあります、めっちゃあります…」




手続きが終わって掲示板を眺める、B級の依頼はやはり魔物の討伐が多い。しかも大体※災害指数が10以上はある。


※災害指数…魔物の危険度を示した指数のこと。災害指数1はF級冒険者1人が相手できるレベル。10になるとE、F級が出くわしたら死ぬと思っていい。スケルトンは4、ブラックウルフは6、ヘルムが倒したゴーレムは10になる。指数が倍になるからといって強さが倍とは限らない


「今のLevelだったらジャイアントイーグルも倒せるだろう。」








–エントゥルーフ帝国から少し離れた荒原–


ここはジャイアントイーグルの縄張り、

ジャイアントイーグルは災害指数11で自分で削った細長い石を投げるというのが攻撃方法。鋭利すぎて当たっただけで大出血をする

動きもすばしっこくて重い装備をしていると何度も当てられて貫くこともある。



「ヘルム、いいか。まずはジャイアントイーグルは石を投げた後に対象に向かって爪を立ててくる。そのタイミングを狙って打ち落すぞ」


「了解しました」


鷹といっても巨大だからそこまで速くはない。目を離さなければあとは攻撃パターンを知っているかが鍵になる。


「ピイイィィィィー!!」


ヒュン!


「今だ!!」


ヘルムの体の3倍はある図体に攻撃をする。

一度では倒れないがこれを数回繰り返せばいつか飛べなくなるだろう。





2回目、3回目と攻撃をした後だんだんと滑空が安定しないところが見えてきた。


「ヘルム、次で仕留める。逃がすなよ」


「任せてください」


「ピィィ!!!」


ヒュン!


これで終わりだ!!


ヒュン!


「なっ!?」


もう1度石を?!隠し持っていたか!!

その石が進む先にはヘルムがいた。


「きゃっ!!」ドスッッッ


「おい!!大丈夫か?」


「うっ、、大丈夫です…立ち上がることは困難ですが…」


2人だから大きな攻撃を当てることが出来たが、1人だと時間の浪費が激しくなる。

それにヘルムは出血もしている。ここは撤退か…?


「まだ行けます…倒しましょう」


「お、おい!傷が広がる!」


「レオン様の足を引っ張るわけには…………行かないんです!」


はぁ…ここにきて忠誠心見せられても…

でもここで撤退して後で自分に負い目を感じるかもしれないし、、


「あーもう!俺がやるから近くに避難して横たわっててくれないか。終わったらジャイアントイーグルの羽でも刈り取ってすぐ回復魔法をかけてもらおう!」


「でも!」


「さっきのは俺の方に来てても当たってた!お前が悪いわけじゃないから、次の来るから早く避難しろよ」


「は、はい。」


魔術師を仲間に入れるのも考えないとな、ポーションを買うにもお金がそこまで溜まってるわけじゃないし。


「ピィィィィ!」


「敵が1人になったからって調子に乗りやがって、1発で撃墜させてやるよ!」


ヒュン!


キン!


避ける必要はない、直線で飛んでくるから剣で防げばいいんだ


ヒュン!


「2回目だろ!わかってるさ!『極・素早さ上昇』!!」


よし!勢いをつけて首を!


ヒュン!


「3度目?!」


ドガッ!!


「にがすかぁぁぁ!!」


ドッ!


「ビィ?!ビィィァ!!!」


ズバッッ!



今逃したら俺もヘルムと同じことになる…

喰らいながらも首を刈るのが正解だったな。

それに防御力とHPにもステ振りしてて良かった。まだ3分の2は残ってる。


「ってそれより!ヘルムを早く帝国内に連れて行かなきゃ!」







–冒険者ギルド–


ヘルムはそこまで重傷だったわけじゃないが、そこら辺の魔術師では回復できないくらいの傷はあった為、専用の宿屋に泊まらせた。


「ジャイアントイーグルの羽です」


「早かったですね!最近荒原を誤って通った子供が亡くなった事例も多かったので助かります!!では報酬の金貨1枚と銀貨5枚です」


「ありがとうございます。では俺はこれで」


「あ!そうでした。レオンさんも対象に入っているんですけど帝国からの召集がかかってまして、何やら魔王軍が帝国から50km離れた霧の森に駐在しているとのことで、日にちはわかりませんが近々B級以上の冒険者が門付近に呼ばれる可能性がありますので。」



霧の森で?ゲーム内のクエストでこんな事なかった気がするんだが、、、

まぁでもラザノフの件と言い、俺が見落としてた可能性もあるしな。それだけワルデザは自由度が高いゲームだし














この時のレオンは知らなかった。

その魔王軍の軍勢5000体が“ガルタナ王国”に向かっている事。その中には幹部がいる事。そして“ラザノフを殺害した犯人”を探していたことを…

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