第6話 訪問者


「–––––さい!–––なさい!起きなさいよ!」


バシーーン!


「痛っっ!?何だよ朝っぱらから…」


「“迎え”が来たの。世話になったわね」


迎え…?


「エリーゼ王女を守ってくださり、感謝いたします。わたくし王女直属の執事、セントナ=ラパラでございます」


「これはどうも、、」


「是非、今度エルフ王国へいらっしゃってください、国王陛下から恩賜おんしの品が贈呈されることでしょう。」


エルフ王国はガルタナ王国から馬車で1週間はかかる。ストーリー的にもかなり終盤の方出てくる。恐らく到着する頃には忘れられているだろう…


「ではエリーゼ王女、お帰りの際は家の前にゲートを用意しておりますので」


「わかりました。先に行っててください」


「畏まりました」


昨日の子供みたいなやり取りですっかり忘れてたけどコイツ一国の未来を担う王女だったな…あれでも周回した俺でもコイツの名前…一度も見てないような。

まぁ見落としはあるか。


「じゃ、ご苦労だったわね」


「最後まで上から目線だな、ヘルム起こしたら悪いから早く行ってくれ。」


「不敬罪で訴えようかしら…まぁいいわ。じゃあね」


「へいへい」


「ありがとう」ボソッ


「あ?なんか言ったか?」


「ふん、腕だけで無く耳も腐ったのね。なにも言ってないわよ」


こんの!……いや怒るな、言い返したら俺もガキみたいになるじゃないか。


バタン


「よしっもう一眠りするかぁ、ふぁーぁ」


コンコン


「だぁぁぁっ!何なんだよ!冬の朝はさみぃんだよ!」



ガチャリ


「もう早く帰れよ!」


「こちらは空き家のようだが、住んで良いと許可をもらったのか?」


目の前にはエリーゼやその他執事は消えており、甲冑を装備した爽やかイケメンが立っていた。


「い、いやぁ。ちょっとネズミが湧いてたっぽかったので駆除をね?」


「ふむ、駆除をするならしっかり感染症対策をしておくべきだよ。それより、昨日の昼から夜にかけて君はスケルトンの討伐依頼を受けていたよね?」


「え、まぁ受けていましたけど。」


「そのダンジョンの中で魔物が生成されなくなったんだ。君は昨日、なにをしていたんだい?」


魔物が生成されない…?ダンジョンが崩壊したとかじゃなくてか?それにダンジョンコアは至って正常に起動してた気がするが


「その前にあなたの名前は?」


「あぁ、失礼。僕の名前はカニス=クオン=サバーカ、騎士団で副団長を任されている。」


始まりの街があるガルタナ王国にはあまり強いキャラは出てこない。だからそこまで長く滞在したことがないからこそ、騎士団の重役とここで会うとは思わなかった。


「それで、D級冒険者レオン。昨日君はなにをしていたのか答えてもらおうか」


なるほど、俺についてわけか。王国に害をなす者なのかを。


「実は、、、」


俺は正直に昨日あったことを全て話した。途中副団長は驚いた顔をしていたが、続けて5分ほど説明していた。


「なるほど、魔王軍特攻隊長ラザノフ…か。すまない。君を疑っていた。」


「いえ、疑いが晴れて良かったです。では今日は休息を取ろうと思うのでこれで、」


「だが、不可解な点がまだ残っていてだな。魔王軍の隊長クラスと対面してそこまで傷を負ってない姿を見ると違和感があるのだよ」


「それは先ほど説明した通りエルフ王国の王女が「なぜ君は生きて帰ってこれているのだ?」」


「D級冒険者はうちの団員未満の実力ばかりが多くいる階級だろう。魔王軍の隊長クラスだとしたら僕でも敵いそうにない。例えそこの少女と王女を連れていたとしてもだ。」


「んー、それは…」


この世界を何度も攻略しているからとか言っても信じてもらえるわけないしなぁ…


「君を捕らえようとはしない、王宮まで足を運んでくれないか。そこで私と手合わせ願おう。」


え、何でそうなる!?


「私はこの国でも数え切れるほどの実力者であると自負している。実際もし冒険者だったらA級にも匹敵するとも言われている。そんな僕に君が勝てたとするとその話の信憑性は増す。そうだろう」


あ、この人脳筋だ。力で推し量ろうとするタイプだ。ちょっと苦手なタイプだ。


「んん?レオン様…?どうされました?」


「すまん、ヘルム起こしてしまったか。もしかしたら今日は休養日じゃ無くなるかもしれないんだ。」


「私はレオン様に体を捧げた身、毎日レオン様の為なら体が粉になるまで働きます!!」


物凄い速さで尻尾振ってる…


「よかったらその少女も連れてきていいぞ」


「じゃあそうします」


負けると絶対捕えるだろうし勝ったら勝ったで厄介ごとに巻き込まれそうだし、どうするか。






–王宮、騎士団修練場–



ガルタナ王国は平和だから大型の魔物が襲ってきたりすることもないし、災害も少ない。

それでもしっかり防衛のためにそこそこなお金は費やしているようだな。

人数もいるし、なかなか剣筋も良い。


さっきステータスを見たところ、昨日のラザノフ戦でLevelが45まで上がっていた。かなりのLevel差だったからなぁ。


「ヘルムは今Levelってどのくらいなんだ?」


「れべる…すいません、れべるという言葉を初めて耳にしたもので、できれば説明をしていただけないでしょうか。」


「え?両親からステータスとか説明されてないのか?」


「はい…」


「ステータスってのは自分の身体能力、称号、スキルを表すものなんだけど。見た方が早いからステータスって言ってみて」


「『ステータス』」


「そうそうこれこれ、、ん?」


ステ振り機能がない…?普通だったら(+0)とか記入されているはずなのに…


「Levelはこれだな、えぇーっと、、いぃっ!?」


32?!何だこの高さ、確かに俺よりスケルトンも討伐していたけれど、少し多かっただけだ。経験値はみんな平等だし…


「低いのですか…?」


「いや高すぎるくらいだ…ヘルム。俺のみてないところで魔物狩りにいってるか?」


「え、なぜそれを…?」


「成長速度が獣人だとしても早すぎると思っただけだ。じゃあ少しあの男と手合わせするからそこで観戦しててくれ。」


ゴーレムを4ヶ月弱で倒した理由も納得できる。もう心配する必要もなかったな。

大人の獣人と大差ないくらい強くなっている。


「すいません、待たせちゃって」


「いえ、僕も久々に強者と手合わせできて嬉しい限りだよ。まぁ強者かどうかは今から確かめるがな」



このキャラの戦法はわからないし、弱点も知らない。これが普通の戦いというものだが、“A級冒険者に匹敵する”…か。

今の自分がどれだけ成長したか確かめるとしよう!!







––––––––––––––––

次回、

ガルタナ王国騎士団副団長カニスvsレオン


戦闘描写が下手くそなのでご了承ください。

今回は少し短いですが次回は少し長くなると思います!!乞うご期待




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