第三章 言い方を変えてみる
第三章には、二章までに当てはまらない語句や文についての技法をまとめました。
【声喩(オノマトペ)】
概説:音声(物音、なき声など)を言葉で表現する技法。
用例:「ボォッ……っと火が灯る」「ヒリヒリする」「ふわっと浮きあがる」
付記:些か子供っぽいイメージもありますが、オノマトペだからできる表現しかありません。
【倒置法(インヴァージョン )】
概説:「▲▲だ、〇〇は」といったように、語句・文節の順序を入れ替える表現技法。文脈によって、▲▲の方を強調したい場合と、〇〇の方を強調したい場合がある。
用例:「上手いねぇ、あの選手」「終わったと思った、ちょうど吊り橋で足を滑らせなような気がして」「パリだよ、フランスの首都は」
付記:学校で学んだ記憶がある人も多いと思います。うまく使えないと読みにくさや違和感を生じさせることもありますが、効果が分かりやすい技法です。
【対句法(アンティセシス)】
概説:「〇〇は▲▲であるが、●●は△△である」といったように、意味的な対比を際立たせるために、類似の形式で二つの句を並べる表現技法。
用例:「狐の頭脳と獅子の力」「故郷では無敗だったが、東京に出ると必敗だった」
付記:どの程度細かく見るかによって、文中にいくつ対句法が見出せるかが異なってくることもあります。
【反復法(リピティション )】
概説:同じ言葉や似た言葉を繰り返すことで、表現にリズム感を持たせて強調する技法。
用例:「ソーランソーラン!」「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」「それは国を揺るがした。それは世紀の発見だった。それは世界を変える事件だった」
付記:文節は記憶に残りませんが、リズミカルな文章は記憶に残ります。
【挿入法(パレンシシス )】
概説:〇〇である(という▲▲もある)、といったように、括弧やダッシュ等を用いて、文中に文脈と異なる文章を挿入する表現技法。
用例:「古代の超大国(ローマ帝国と漢帝国)」「強化尋問――という名の拷問なのだが――を行うことになった」
付記:便利なので多用したくなりますが、文章のリズム感を損ない、時に単純に読みにくくする場合があります。
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