村長さんとお武家さま(四)深夜の散歩で起きた出来事

ひぐらし ちまよったか

第1話

「――好い月だのう、村長」


「はい、おぼろに霞んでキレイですね」


「昨夜が満月だったか?」


「昨夜のは『ワーム・ムーン』って言うらしいですよ」


「ワーム? いもむし君か?」


「春らしくって、可愛いですよね」


「うむ。夜も暖かくなって……イイ散歩じゃのう」


「こういうシチュエーションを狙っての、お題だったのかも知れませんねぇ」


「そうじゃのう……では村長、そろそろ頼むゾい」


「はい! では、春っぽいヤツを。『深夜の散歩で起きた出来事』と掛けて『自販機の缶コーヒー』と解きます!」


「うむ。夜は自販機の灯かりが目に付くからのう、して、そのココロは?」


「たま~に『冷(霊)』がチラホラと……」


「イっ! い、イヤぁぁああっ!!」


「お、お武家さまっ!?」


「いやっ! わし、怖いの苦手っ!」


「あっ! そ、そうでしたね。す、すみません」


「イヤっ、村長! 意地悪っ!」


「ご、ゴメンなさい。さっきのは無しにします。はい、ナイナイしました! もう大丈夫ですよ、お武家さま」


「ほ、ほんとう?」


「はい。本当です」


「い、いやいや肝を冷やしたゾイ、村長よ……勘弁しておくれ」


「スミマセン。おわびに、これ、お武家さまに差し上げます」


「む? なんじゃ……『ドーナツ』?」


「『サーターアンダギー』です。昨夜ある女性作家様から頂いたんですよ」


「ほう。なぜ『サーターアンダギー』なのかのう?」


「? さぁ? 私も、よく知りません」


「まあ、せっかくなので頂くとするかのう。もぐもぐ」


「では、やり直しで」


「もぐもぐ。怖いのはやめてね? もぐ、ごっくん」


「怖くないですよぉ……『深夜の散歩で起きた出来事』と掛けまして『いつもお若い、カクヨム女性作家の皆々様』と、解きます!」


「お礼のヨイショかい? そのココロは?」


「子供がいて、チョットびっくり!」


「おうっ! 見事じゃ!」


「ホントみなさん、お若いから……」


「よい子の皆は、深夜に出歩くでないゾ!」

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村長さんとお武家さま(四)深夜の散歩で起きた出来事 ひぐらし ちまよったか @ZOOJON

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