第26話処刑他side★飛ばしても問題ないです★

「カミーロ、お前のせいだ」


「う、うるさいっ」


「うぅっ、苦しいっ。助けて」


 地下室では様々な嗚咽、呻き、怨嗟の声が漏れていた。皆魔力を吸われる痛みと苦しみを感じながら椅子に縛り付けられて動けないでいる。


「うぅ……。貴方達に手を貸さなければ良かった。もう彼に会う事は叶わない。彼は泣きながら私を抱きしめたの。一度も責めなかったわ。死にたい。すぐに死んでしまいたい」


そうメグレ元夫人は涙を流し呟く。


「食事を持ってきたぞ」


 二人の下男は手足を縛られた犯罪者達にパンをちぎり口に突っ込む。貴族では食べた事のないような硬いパン。その後、水を口に含ませていく。


「おい、漏らしているぞ。汚ねぇなっ」


 そう言うと清浄魔法を唱えて小綺麗にしていく。一族の者達は暴力を振るわれるのではないかとびくびくしていたが、下男は暴力を振るう事はなかった。ただ食事が終わった人達にそっと頭に触れただけ。ただそれだけだったが、触れた傍からうめき声が叫び声に変わった。


「助けてくれ!!何でもする!死にたくないんだ!」


そう叫ぶ人達。どうやら彼等は悪夢を見せる魔法を使ったようだ。


「あぁ、心地よい響きだ。もっと苦しめばいい。次は何をしようか楽しみ出仕方がないが当分俺達の順番はこないからな。残念だ。じゃぁな」


 下男の格好をした男達はさっさと部屋を出て行った。


そう、彼らは長年カミーロに恨みを持つ者達。脅され時には暴力も振るわれ、処刑された使用人の家族も含まれている。


そうして毎回食事を持ってくる者達は下男や下女の格好をしてカミーロ一族に復讐を行う。


一週間を過ぎた辺りから一人、また一人と徐々に部屋にいた者達が倒れて動かなくなっていく。


死を間近で見る恐怖。


ガタガタと震える事しか出来ない。


一月を越える頃にはカミーロ一家以外は部屋に居なくなってしまった。たまにうめき声をあげるが、静まり返った地下室。


とうとう彼等も精神が壊れたようで反応しなくなった。


 ただ、ただ魔力を吸い取られるだけの存在。自己治癒力の高さから寿命を全うするまで死ぬことはない。そうして彼等はいつしか忘れられた存在となった。

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