第36話

 現代の勇者と古代の勇者。


「神聖力も普通に使えるんですね!メイドさんは!」


「ちょっと待って下さいッ!?その力何なんです!?」


「え?これは神聖力と魔力をかけ合わせた神聖魔力です」


「……なんでそんなことが出来るの?」

 

 互いに木刀を持ち、全力を尽くしてぶつかる僕とメイドさん。

 メイドさんは僕と違って神聖力と魔力をかけ合わせた神聖魔力を使えないらしいので、素の力としては僕よりは劣る。

 だが、それでも技量面で言えばメイドさんが上なようで、後ちょっとというところで詰め切れられない。


「……なんというか、本当にチート性能ですね。まさかここまでちゃんと地力で超えられるとは思いませんでした。技量も超えられる一歩手前ですし……普通に殺す気で来られたら負けますね、私」


「メイドさんの教えが良かったんですよ」

 

「……なるほど。そう思うことにしましょうか」


「そう思っていてください」

 

 僕とメイドさんの戦いは派手であり、地味だ。

 光速にさえも届きそうな勢いで激しくぶつかり合い、周りに被害を出しながらも踊っているが、その実はただただ剣を交えているだけだ。


「「……ッ」」

 

 どう決着をつけるか……駆け引きを交えながら終わりどきを探していた僕とメイドさんはともに近づいてくる二人の気配を感じて動きを止める。


「ちょっと!もう魔王討伐に行くんでしょう?行く前にそんなド派手に戦ってどうするのよ!体力は温存しておかなきゃじゃない!というか、私たちが来るまでちゃんと部屋で待っていてよ。和人が案内された部屋に行った私たちは貴方がいなくて驚いたんだからね?」


「……ひどい」


 激しくぶつかっていた僕とメイドさんのもとにやってきたのはララティーナとアレシア様であった。

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