第32話
一度、人類の前線を徹底的に破壊し尽くした魔王。
それから始まった魔族による大攻勢を止めるのであれば勇者たる僕が出るのが一番なのではないだろうか?
「よっとぉ!」
最前線に立つ僕は神聖力と魔力。
二つの力を混ぜ合わせて新しく生み出した力『神聖魔力』を自由自在に操りながら、魔剣エクスカリバーを振り回す。
ありとあらゆるものを破壊する神聖力と万能な魔力が合わさることで出来る僕のオリジナルなるの力は実に使い勝手がよい。
「……ありえない」
ただ魔剣を振るうだけで全てを消し炭に出来る。
魔王のように全てをふっ飛ばすような遠距離攻撃を僕は使うことができないが、それでも一人で敵陣を壊滅させるのには十分すぎるくらいの能力を持っているつもりだ。
「囲め!囲め!」
「この先へと活かせるな!」
「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「人間がァ!!!人間風情がァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!
「あまり調子に乗るなァ!」
「ハッハッハ!囲ったくらいで僕を止められると思うな!」
どれだけ囲まれようと、どれだけの敵がいようと。
僕は相手の攻撃を一度も食らうこと無く突き進む。
「し、信じられない……」
「俺たちじゃ無理だ!」
「幹部は!?幹部はどこだ!?」
「ここにいたやつはもう死んでいる!他の戦線の奴らはまだ移動中だ!」
「嘘だろ!」
「……やっぱり遅いな」
戦々恐々となっている自分の周りの魔族の兵士たち。
大きな被害を僕は出せている……それでも、戦える範囲が小さすぎる。
このペースじゃ魔族の戦線を突き崩すのにどれだけ時間がかかるかわからない。
「まぁ……それでもやるしかないんだが」
自分の力のなさに歯噛みしながら僕は魔剣を振り続けた。
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