第24話

 試練のクリア報酬として上がったステータスと新たに獲得したスキル『殺意感知』。

 その新スキルは早速大活躍していた。


「なんで?お前が?一体お前らの関係はなんだ?私はお前に教育を命じただけで仲良くするようには命じてないぞ?」

 

 アレシア様よりビンビンに感じる濃厚な殺気を前に僕の頬は引き攣る。

 

「あらあら……私は命じられたとおりに教育を施しただけですよ?下の方も、ですね?」


「……ッ!!!」


「メイドさん。ひっどい風評被害を加えるの辞めてくれません?メイドさんに下のお世話をしてもらった記憶はないのですが?」

 

 何故にここまでアレシア様が怒っているのかわからなかったが、僕はとりあえず口を挟む。


「……ほんと?」


 アレシア様の視線が僕の方へと向けられる。


「え、えぇ。本当ですとも」


「ならなんで服を?」


「メイドさんからいただいた燕尾服に着替えようとしていただけです。メイドさんの前だったのはもう慣れたからですよ。模擬戦をひたすらに繰り返していると服がボロボロになったりなどよくあることでメイドさんに自分の体を見られることに抵抗感があまりないんですよ。アレシア様に自分の汚い着替えを見せてしまったことには誠心誠意謝罪することしかできませんが」


「……いや、汚いとかではぁ」

 

 アレシア様の口がもにょもにょと動く。

 ……ん?今喋ったか?


「んん!じゃあ二人は肉体関係があるわけではないのね?」


「当然です。メイドさんと肉体関係を持つなどこちらから願い下はぐっ!?」

 

 言葉の途中でメイドさんにヘッドロックを決められる。


「あらあら私のような美人を捕まえてひどい言い草ですねぇ?」


「僕は人間ですぅ……ッ!ゴリラは願い下げだぁ……ッ!」

 

 メイドさんのヘッドロックから抜け出した僕はメイドさんへと言い返す。


「あらあら?」

 

 そんな僕に対してメイドさんは笑顔のまま掴みかかってくる。

 僕の骨を砕かんと。


「ぐぬぬぬ」

 

 僕はそんなメイドさんに必死で応戦する。

 この一か月で僕は成長した……そう簡単にメイドさんには負けない。


「離れなさい」


「はぁい」


「了解しました」

 

 僕とメイドさんはアレシア様の言葉を聞いて互いに交えていた手を放し、離れたのだった。

 

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