深夜の散歩で意外な出会い

LAYLA

第1話 俺とあの子の出会い

今日は仕事が定時で上がれた珍しい金曜日。

「1人晩酌でもするか…。」俺は最寄りのコンビニに立ち寄り、缶ビールや酎ハイ、適当なつまみを買った。


家に帰り、つまみと酒だけで夕飯を済ませる。

バラエティー番組を見ていたのだが、気が付くと眠っていたのか、時計は深夜を回っていた。

「ん~。俺寝てたのか…。」俺はなんか無性に甘いものが食べたくなって、深夜の散歩がてらコンビニに買いに行く事にした。


「ませ~。」気の抜けた声がした。店員もこんな時間に働くのは大変だよな。

俺はスイーツコーナーへ進むが、あまり食べたいものが見つからなかった。

やっぱアイスかな…。俺は横のアイスが置いてあるケースに移動した。チョコアイスか、バニラか…うん。気分はチョコでコーティングしてあるバニラだな。

俺はアイス片手にレジへ進み、会計を済ませた。


アイスを食べながら川沿いを歩く。

何かいいな、こんなゆったりした時間。

そう思っていたら、突如として争うカップルが現れた。

男は女の手を鷲掴み、女は振りほどこうと必死だった。

まだ酔いが残っているが、止めなきゃまずいと思い「ちょっと大丈夫ですか!?」と焦りながら駆け寄った。

俺の声に気を取られ、男の力が抜けた瞬間女は俺の背後へ隠れた。

「何かトラブルですか?」俺がそう言うと「その女に肩入れすると後悔するぞ。」と男はすごんできた。

正直怖かったが引くに引けない俺は「乱暴は良くないですよ…警察を呼びましょうか?」と脅してみた。

男は警察沙汰が嫌だったのか、不満そうな顔をして去って行った。

俺は後ろにいる女性に目を向ける。「え?」

女性には耳としっぽがある、人間じゃない…?

「どうしても人間と会ってみたくて、父上に背いて山を降りました。父上に怯むことなく対峙する勇気、素晴らしいです!あなたのお側にいさせてください。」

こうして俺はキツネの妖怪と一緒に暮らすことになった。

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