深夜の公園で
仁志隆生
深夜の公園で
寒さもやわらいできたある日の深夜。
俺は近所を散歩していた。
別に夜散歩するのが趣味ではない。
じゃあ何故だというと、終電で最寄り駅まで帰ってきて、改札を出た時だった。
ふと空を見上げると星が幾つも出ていた。
思えば星空を見たのはいつ以来だろうか。
なんかこのまま家に帰るのがなんかもったいないな。
よし、ちょっと散歩していくかな。
そう思って歩いて行った。
しばらく歩いて、自宅の近所にある大きな公園まで来た。
人の声は無く、葉擦れだけがたまに聞こえてくる。
そんな昼間とは違う雰囲気の中をしばらく歩いていた時だった。
ふと見るとベンチがあり、そこに誰か座っているようだった。
それは見た所小学校低学年くらいで、白いシャツに赤いスカートという服装の女の子だった。
あの子、こんな時間に一人で何してるんだ?
家出かそれとも放置子って奴か?
とにかく警察に保護してもらおうとスマホを取り出そうとした時だった。
「ねえお兄さん、遊んで」
いつの間にか女の子が俺のすぐ側まで来ていて、そんな事を言った。
「は? いやこんな遅くまで外に出てちゃダメだろ。早く」
「あたし、帰るお家無い」
女の子がうつむきがちになって言う。
「そう……じゃあお巡りさん呼ぶから」
「イヤ」
「あのね、嫌じゃなくて」
「じゃあ遊んだ後で呼んで」
女の子は涙目になっていた。
この子、もしかして誰にも構ってもらえなくて寂しいのかな?
……思えば俺も似たようなもんだったな。
両親は仕事が忙しくて家にいない事が多かった。
俺には仲のいい近所の幼馴染達がいたけど、やっぱ寂しいって思う時もあったなあ……よし。
「少しだけだよ、いいね?」
「うん!」
女の子は一転して笑顔になった。
「さてと、何して遊ぶ?」
「スケボー!」
「は? あの、スケボーあるの?」
見た所近くにないが?
「あるよ、ここに」
そう言って俺の手を握……。
「わーい、流れ星になったみたいだー」
深夜の公園。
少女は大きなスケボーに乗り猛スピードで滑っていた。
葉擦れだけが聞こえる中で……。
深夜の公園で 仁志隆生 @ryuseienbu
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