第25話 ダンスの練習にゃー


 あのストレッチの後日から、合宿が終わるまで、ロミにしごかれていたスライとエリだが。

なんと合宿の間で90度開脚した状態から、腹を付けられるようになるまで成長していた。


今日私達は、ロミに学校の体育館に集められる。

今日の体育館は練習する人がいなくて、私達だけらしい。


「今日は本格的に、ダンスの練習をしたいと思います!!」


ロミが腕を組みながら前に立っている。

何故、自信満々の顔をしているのか全く分からないのだが。


「まずは、基本的なステップをしましょう!右足を前に出して~」

「こうにゃ?」

「こんなの誰でもできますわ」

「余裕」

「出来ましたわ~」


私達は一歩前に踏み出す。

ここまでは簡単で、私達は余裕でできている。


「まだ一歩目ですので、出来るのは当たり前ですよ!じゃあ次は左足を右足の横に、クロスさせてください!」

「これも行けるにゃー」

「私も行けますわ!」

「うんまだいける」

「簡単ですわ~」


私達はとりあえず、ロミの方を見ながらポーズを真似していく。

比較的まだ行ける。


「そうしたら足を戻して1、2!でこのポーズまでしましょう!!行きますよ!」


ロミの掛け声に合わせて、足を動かしていく。

なんだかんだダンスっぽくなってきている気がする。


「それではこのクロスさせている状態で、右足を下げてください!左足のクロス状態はそのままですよ!」


ロミが実際に、私たちの前で実践をしてくれる。


「若干股関節が痛いですわ!まぁこれくらいならいけますわよ!」

「私は余裕ですわ~」

「なるほど……この時点で股関節の柔らかさが来るのね……」

「私は行けるにゃ」


ミシュと私は、苦戦しているエリの方を見る。


「ここまで来たら、あとは左足を戻し揃えるだけです!!リズムで動かしてみると1、2、3、4、とこんな感じです!見てますか??」

「バッチりにゃ!!」

「ではゆっくり行きましょう!!」


私たちはロミのリズムに合わせて、足を動かしていく。

しかし、これがなかなか難しい。


「右、左、右、あれ??なんか違うにゃ」

「右、左、左、右ではないですか~?」

「右左左だと元に戻ってしまうんじゃない?交互じゃないの?こんなふうに」

「ミシュ出来てますわね……」


もう完璧にマスターしたのか、ミシュはスラスラと足を動かしていた。


「交互で合ってますよ!やりにくいなら、体とか手も動かした方がいいと思います。例えば交差するときに体を向けるとか、背筋伸ばしたまま、足だけ動かしているのは、かなり不気味ですよ」

「これでも真剣なんだにゃ」

「手まで動かせる余裕は、まだないですわ~」

「そうですわよ!」


私達は慣れるまで、不気味なダンスの練習に励んだのだった。


「少し慣れてきたら逆もして下さい!今は右足からなので、今度は左からです!」

「頭と足がこんがらがってくるにゃ!!!」

「こんな感じかな……」

「ミシュは何でできますのよ!!」


ミシュはすんなりとやってのける。

私たちはもう、頭がこんがらがってしまい、そのまま後ろに倒れる。


「これまだ初歩の初歩ですよ!頑張ってください!!見てください!こうです!」


ロミが必死に私たちの前で、ステップを踏む。そ

れを真似てステップを踏むこと、約3時間が経過した。


「だいぶ出来るようになったにゃ!」

「私も何とか出来ましたわ!」

「頑張りました~」

「私は足が痛い……」

「このステップだけで3時間取られていたら、この先ダメダメですよ!?どうするんですか!!?」

「どうするったって……頑張るしかないにゃ……」

「歌って踊らないといけませんのよ?このままだと、不気味ダンスで行かないといけなくなります!」

「それは困るにゃ!!」

「とりあえずまた明日から!違うステップに移りますから!!それまで各自部屋で、今日学んだステップを復習すること!!いいですね!?」

「「「は~い」」」


私達はその場で解散し部屋に、それぞれ帰っていった。

この先いったいどうなる事やら。


「うにゃーん疲れたにゃ~」


私はベットに横になる。

正直疲れすぎて、復習をする気にはならなかった。


「でも……頑張らにゃいと!」


私はそのまま起き上がると、数字を小さく数えながらステップをふむ。


「何してるの?」

「うにゃあ!?だ……ダンスの練習にゃ……」


いつの間にか目の前にいたフランに、私は驚き、大きく飛び跳ねてしまう。

これは猫の時の習慣なのだろうか。

あともう少しで、天井に頭が打つところだった。


「それ初期のステップでしょ?まさかあなたたち……そこから練習してるわけ?」

「これでも、うまく出来るようになったにゃ!」

「ふーん。顔が怖い。体は不気味。ダンスとしては最低ね」


私は図星を言われ、ついつい口をつぐんでしまう。


「体を動かせなくても、顔の表情と一瞬のポーズだけで、ステップ印象は大きく変わる」

「そんなこと言うなら、やってみると良いにゃ!」


私は半ば怒り気味で言ってしまった。

普通ならこの程度で、イライラしないのだが、今日は疲れているのだろう。


「はぁ……」


フランが大きくため息をつく。

そしてその後、軽くステップを踏み始める。

しかし、顔は真顔のため、ステップ自体ちょっと怖くなっている。


「怖いにゃ」

「そうそれがあなたの今のステップよ。ここに表情と、手の動きを加えるだけで」


途端フランの顔が若干明るくなり。クロスする際にピースからのウィンク。おそらくこれはアドリブだろう。これだけで全体的に楽しく、可愛いステップに思えた。

というより、あんな顔できるんだ。

というのが率直な感想の方が大きい。


「見たでしょ?これだけでステップの印象は大きく変わるの。私も笑顔は得意じゃないけど、ここまでなら何とかなるし。ダンスをするなら最低でもこれくらいはしないとダメ」

「なんで勝負なのに教えてくれたにゃ?」

「あなたのステップが不愉快だったから、あんな怖いステップするくらいなら、しない方がいい」


口調は今まで通りかなりきついが、これはフランの優しさなのだろう。

私はそう思う。

この後フランに頼んで、厳しく色々教えてもらいながら、練習を続けるのだった。

もちろん

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