第24話 ストレッチの時間にゃー


 昨日、私がめちゃくちゃにされて、今日はエリとスライの番。

舞台の上には2種族が座っている。

2人は私の様子を見て、いささかやりたく無さそうだった。


「私は嫌ですわ~」

「私も痛いのは嫌ですわよ!!」

「文句言わないでください!あなたたち2人が出来ないと、ダンスに支障が出てしまいますから!!ほら!早く足を広げてくださいスライから行きますよ!!」

「これ以上無理ですわ~!」


スライが手で足を引っ張る……もやはり90°も開いていなかった……


「シャーリンやってください!!」

「わ……分かったにゃ!」

「何をするのです~!!!?ぎゃわー!!」


私が足でスライの足を、ぐいぐい広げているのだ。

スライは痛そうな顔で、首と羽をぶんぶん振っている。


「抑え込みますよ!!ミシュ!」

「任せて!ロミ!」

「痛い痛い痛い!いたいですわーーー!!ぎゃわー--!!」

「うるさいですわ!!」


エリが隣で必死に耳をふさいでいる。

これは仕方ない。


「あともう少しで90°にゃ!行くにゃよ!」


と私はもっと力を入れていく。

スライはもうこの世の終わりみたいな顔で、首を振りまくっていた……


「痛い痛い痛いですわー--!!!ぎゃわー--助けてー--!!」

「90°開いたよ!!スライ!」


ミシュが叫ぶも、スライには聞こえていないようだった……


「今はそれでころじゃないですわああ!!!もうやめてくださいですわー--!!割れますわー!!!」

「このまま30分!!」

「ぎゃわ----!!ですわー--!!」


ということでスライは30分の間、私が前から、ミシュとロミは後ろから、がっちりと体を抑え込まれていた。


「はぁ……はぁ……割れるかと思いましたわ~……」

「じゃあもう1回してください」

「嫌ですわ~!」


スライが飛んで逃げようとするため、ミシュが慌てて止める。


「やりたくないですわ~!!痛いですわ~!!!」

「そもそも!あなたが固いのが悪いんですよ!ほら早く足を広げてください!!」


ロミの言葉に少し足を広げたスライは、また私の足で90°開かされる。


「ぎゃわー--!!!まだ痛い痛い痛いですわー--!!!」

「そのまま倒れてください!!」

「絶対無理ですわ~~~!!!」

「仕方ありませんね……よいしょ!」


昨日の私と同じように、ロミが膝でスライの背中を押していく


「ぎゃわー--!!!!!痛いですわあああ~~!!」


私はこれ以上して大丈夫かと不意に不安になってきた。

このまま股関節がポキッと行ってしまいそうだったのだ……


「まだまだ行きますわよ!!!」

「もうやめてくださいですわ~~~!!!!!ぎゃ~~~~!!!!」


簡単なストレッチが!もはや悲鳴と化すストレッチとなってしまった。

その時のロミの顔は、なぜか満足そうな顔をしている。


「あともう少しで手が床に着きそうにゃ!!」

「もう無理無理無理ですわ~~~!!!!」

「行きますよ!!つけましょう!!」

「手引っ張るよ!」

「行きますよ!せーの!」


私達は最後に3人で一斉にスライを引っ張る。

ちなみに私は真ん中にいるため、少し体をずらし、スライの腕を掴んで引っ張っていた。


「おぎゃー----!!!!!!」

「手着きましたわ!!」


全員がスライから手を離した瞬間、反動で後ろに1回転したのだった。


「私の体……壊れましたわぁ~」


後ろで寝ころびながら、スライが大の字になって倒れていた。


「話す余裕があるなら元気ですね!じゃあ次はエリさん!あなたも手をつくまでやりますからね」

「私は叫びませんわよ!」


と足を広げていく。

がやはり途中で止まってしまった。


「行くにゃ!」

「くううー!!痛いですが何のこれしきですわ!!!」

「あっ……」

「ぎゃああああ!!!痛いですわあああ!!!」


私は、ゆっくりと足を広げていくつもりが汗で滑り、いきなり90°近くまで開いてしまったのだ。


「耐えますわああああ!!!!叫びませんわあああ!!」

「思いっきり叫んでるじゃん……」


ミシュが軽く呟くも、ロミはまだまだ止めようとはせず逆に。


「では行きますよ!!」

「ちょっと!!?私だけ早く……ぎゃー-!!!ロミさんいきなり強い!!強いですわああ!!」


ロミが全体重をエリの体に乗せているのだ。

これには載らないといけない!と勝手に思い、私も腕を思いっきり引っ張る。


「ぎゃあああ!!痛い痛い痛い!!やめてくださいですわあああ!!!私は令嬢ですのおおお!!!!ぎゃー-!!」

「なかなか引っ張るのも、楽しいかも」


いつの間にかミシュも参加していた。

楽しんではいるのだが、エリはひたすら叫んでいる。


「楽しくならないでくださるぅぅ!!!?ぎゃああああ!!!痛い痛い!!!胸がつっかえて痛いですわあああ!!!足もいたいですわああ!」

「もう少しで手が着きそうにゃ!一気に行くにゃよ!!せーの」

「ふんぎゃあああ!!!!!!」

「よしつきましたね!!」


ロミは満足そうな顔をして、汗を拭いていた……

私はこれで確信した……ロミは実はめちゃくちゃスパルタ強制指導だと。

今日のストレッチは無事2人の手が付いたことで、終了したのだった。

しばらく、この練習が続くということを知ったエリとスライは、顔が絶望を見たような顔になっている。


「そうそう!今日風呂で足を揉むとだいぶ楽になりますから!!」

「昨日聞いてないにゃ!!?」

「言い忘れていました!!」


今日の私は見事、足が筋肉痛でそんな中頑張っていたのだ。

私自身もかなり痛かった。

今日は風呂でマッサージしよう。

そう決めたのだった。

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