第22話 川対決にゃー


 私たちは無事朝ご飯を獲得し、満足にパクパク食べている。

ある1人を除いて……


「あーこのグミ朝ご飯にうまいですわ~あ~!とてもうまいですわ~!」


最下位になってしまったエリには、お菓子のグミを、1つ贈呈することになり、ずっとこんな調子である。

私とロミは1位と2位の為、肉を炭火で焼いている……正直とても美味しそうな匂いが漂う。


「良いなぁ……私なんて米ばかり……」

「お肉は食べられませんが、みそ汁は格別ですわ~温まりますわ~」


4位となったミシュは白米を片手に、私たちの方を羨ましそうに見ている。

その横では、スライがみそ汁と白米をうまうま食べている。


「2人共!ご飯を食べられるだけ良いじゃありませんの!!私なんてグミ1つですのよ!!!?」

「良いじゃん、ダイエットに」

「こんなの嫌ですわああ!!」


ミシュの言葉にエリが叫ぶ……

何故この対決になったのかは、未だに分からないのだが……


「決めましたわ!!昼ごはんの対決は私が決めますわ!!!」

「え?昼ごはんも対決するの??」

「当たり前ですわ!!こんなの私が許せませんわ!!昼ご飯の対決は……この後ろの川往復対決ですわ!!」

「そんなのエリが有利にゃ!?それに私無理にゃよ!?」

「知りませんわ!!ロミだって得意な肺活量で、対決したじゃありませんの!!」

「私は大丈夫だけどなぁ……」

「楽しみですわ~」

「どうして、私までしないといけませんの?」

「もちろん全員参加ですわ!!報酬は同じで罰ゲームはグミですわよ!時間は1時間後ですわ!!」


そうして時が過ぎ、時間がやってきたのだが……

私はこの対決には参加できなかった。

その理由はというと……


「ごめんにゃ、私やっぱりこの対決には参加できないにゃ。昔、川でおぼれた経験あって、水に対してそもそものトラウマがあるにゃ」

「そうですの!?意外ですわね……ではシャーリンは棄権、ということでいいですわ!あとは私たちだけ対決するので、見てくださいですわ!」

「了解にゃ!」


ということで、私は急遽、着順の審判をすることになる。

皆は既にちゃんと水着に着替えている。

エリは……何とは言わないがものすごく大きい……

私なんて……いや私もある!と思う……


「それで行くにゃー!よーい……スタートにゃ!」


私の号令を合図に、4人は一斉に川に飛び込んでいった。

真っ先に飛び出していったのは、エリ……ではなくスライで、どんどん突き放している。


「スライ速すぎですわよ!?」

「飛ばしますわ~」

「これは……急がないといけませんね……」

「ええ!?スライってあんなに速かったの!?」


しかし、飛び出したのもつかの間、すぐに減速して、エリ・ロミ・ミシュと横並びになる。

どうやら泳ぎに離れていないらしい……

そうして、4人はほぼ同時に奥の岩にタッチして戻ってくる……

この時、猛烈な速度で戻ってくるのはミシュだった。


「ミシュがものすごく速いにゃ!?」

「速すぎですわ!?私はワニ族ですのよ!」


エリも必死に、ミシュの事を追いかけてはいるが、全然追いつけない状態で、どんどん突き放されていく。

まさかここまで、ミシュが水上レースに強いとは思わなかった。


「1位は無理でも……2位にはなります!」

「私も負けませんわ~!」

「私が2位ですのよ!!」


エリの後ろから、ロミとスライも追いかけてくる。

まるでどちらが勝つのか分からない。

それくらいのデッドヒートが、後ろで繰り返されていた。


「1位!ミシュにゃ!そして……2位は……エリにゃ!3位……スライにゃ!4位……ロミにゃ!!」


手の場所が3人ともにほぼ同じで……決着はまさかの指の差だった……

なので、私の基準は手の重なりで、地面から順番に読み上げるしか、方法はなかった。

とりあえずこれで急遽始まった水上レースは終わり、再びみんなで話し合いながら、昼ご飯を食べ感想を振り返る。


「ミシュ折り返しからの帰り、早すぎですわ!」

「泳ぐのは慣れてるからね」

「あと少しでしたわ~!!私は白ご飯だけですわ~……」

「私も……もうすぐで追いつけたのに……グミ美味しいです……」

「私は、特に何でもいいにゃ!」


私を含め4人が盛り上がっている中、ロミは1人ブツブツ呟きながら……グミをパクパク食べているのだった……

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