猫の私は異世界に行きましにゃー

蜂鳥タイト

1章

第1部・ライブ編

プロローグにゃー


私はゆっくり目を開く。ここから私のお仕事が始まる、そう私は……


「にゃー(ふぁ~)」


猫なのだ。

これからご主人様を起こしに行かないといけない。

私は机の上に乗ったりしながら、部屋を移動し体より大きなベッドを見上げる……

ご主人様の名前は咲石健太させきけんた

私が幼い頃、幼なじみ一緒にいた猫と離れ離れになり、ご主人様の祖母が私を引き取ってくれて、そのまま一緒に暮らしている。


「にゃっ!(よっ!)」


私は、そのままご主人の横に座る。

全く私に気づく様子はない。


「にゃー(起きてー)」


起きないので1回猫パンチする。

それでも全く起きる気配を見せない……


「にゃー!(起きてー!)」


私はさらに大きな声で鳴く。

起きない、これから私は最終戦略を開始する。


「痛い痛い!」


私は、猫パンチをご主人様の顔にポカポカと打ちまくっているのだ。


「にゃー(早く起きて)」


私は猫団の中でも特に喧嘩が強いと言われていた。

しかし爪は出ていない。

だってご主人様だから 。


「分かった分かった!起きるから!」


ひたすら、私の猫パンチをポカポカ食らっていたご主人様は、ゆっくりと体を起こす。


「にゃ!(よろしい!)」


私はベッドから飛び降り、キッチンに向かう。


「本当にリンリンは……」


と私の前に食事が置かれる。

この食事はとても美味しい。

コリコリした歯ごたえに感じる甘み……私は満足した顔をすると、ご主人様が頭と顔を撫でてくる。


「にゃー(美味しかった)」


私はそのまま部屋に戻っていった。

しばらくすると、部屋の扉がひらき、ご主人様が入ってくる。


「リンリン散歩に行くか!」


私には人間の言葉は分からないが、首輪とリード・ハーネスを持っているため、散歩に行くということに気付く。


「にゃーん(はーい)」


ご主人様にめてもらうと、そのまま一緒に外に出ていった。

外はとても明るく心地よかった。私は思わず走り出す。


「リンリン!速いよ!」


何かご主人様言ってるが気にしない。私は構わずどんどん走っていく。


「にゃー!(気持ちいい!)」


しばらく走り、後ろを振り返ると、誰も来ていない。

首輪とリード、さらにハーネスまで外れてしまっている、確かに付けていた感触があったのだが……


「にゃ?にゃ?(あれ?ご主人様は?)」


私は周り見渡す、私はとりあえず来た道を引き返そうとするのだが……


「にゃー?(こんな所に別れ道あったっけ)」


とりあえず左に曲がった記憶があったため、左に入っていった。



「にゃにゃーん!にゃんにゃにゃーんにゃにゃーん」


私は歌いながらどんどん歩いていく……のだが……

なにやら、周りがおかしくなっていることに気づいた。


「にゃ?(あれ?)」


気付いたら霧に包まれ、前が見えなくなってしまったのだ。

本当にさっきまでは、霧なんてなかったのに、一瞬の出来事だった。


「にゃーん!」


叫ぶも何も見えず、返事もなかった。

不安になりながらも、私は前に進んでいく。


「にゃにゃにゃん(とりあえず進もう)」


私はギリギリ見える道をどんどん歩いて行った。

しばらく歩いていると家のようなものが見えてくる……


「にゃ!にゃにゃー!にゃにゃ!(きたー!家だー!休む!)」


私は思いっきり走っていった。

コンコン……とドアを叩く。


「にゃー(すみませーん)」


何回もノックをするが返事はない……と思いきや自動的にドアが開いていく。


「にゃー!(助かったー!)」


私はそそくさと中に入っていく。中はとても綺麗で大きなベッドもあった。


「にゃーん(もう寝よ)」


私はそのままベッドに飛び乗ると、そのまま、もう寝ることにしたのだった。

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