深夜の散歩で起きた出来事

Y.T

第1話 徘徊。

 ——ああ? 暗えな? 此処は何処だ? いや、それよりも俺はションベンがしてえ。

 布団から起き上がると俺は、物音が立たないように襖を開ける。なんだか誰かのなんてもんが聴こえるが、気にしちゃいられねえ。一階に降りるのが先決だ。

 階段が十三回軋む音を聴いたのち、左手のドアを見て思い出す。

 ——そうだった。ションベンしたいんだったよ。

 用が済むと俺は、腹が空いている事に気づいた。冷蔵庫に夜食用のゼリーがあるはずなので、トイレから出る。というか、なぜ俺はトイレに居たのだろう。

 ドアを閉めて振り向くと玄関があった。もう暗くなっている。

 ——うわぁ、そういえば晩飯買うの忘れてた。あんまり行った事ないけど、コンビニにでも行くか。

 玄関で靴を履き外へ出る。何故空が暗いのだろう。散歩日和ではないな。

 俺は綺麗な娘さんの居る喫茶店へと向かった。

 ——へへっ、この日の為に用意したこの花束、きっとびっくりするだろうな? ん? あれ? なんで俺、花束持ってないんだ? というか、なんで俺は外にいるんだっけ? ああそうだ。これから仕事があるんだった。まったく、足が重いぜ。


 俺は歩みを早めた。

 

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