第53話 巨大ゴーレム

この世界の生き物とは思えない、禍々しい九つの龍がスグルの背後に顕現する。しかし、ナナのスキルによってスグルがコントロールできるよう能力の暴走を封じる


「そこの三人、囮になってくれないかなー」


「冗談じゃないわよ。てか、ソフィア・・こんな大事な場面で寝ないでよ」


アリシアは自分の命が危険であるからとあまり乗り気ではない。その横でソフィアがすやすや寝始めていた


「おい龍人、勝てる見込みはあるのか」


「もちろんだよー」


リアムはゴーレムの攻撃をよけながら敵の視野に捕らえられるように何度か攻撃した。それに上手く釣られてゴーレムはリアムを追う


──封印鎖──


ゴーレムの動きを少しだけ止める。その隙に──


「うらあああああ」


スグルはゴーレムの中心に向かって拳を入れる


「え」


パチンという何とも言い難い音がした。周りのみんなは思ったのと違うんですけどーといった反応をしている。しかし、


「ゴーレムが止まった?」


スグルの目の前にいるゴーレムの様子がおかしい・・・まるで電池の入っていないおもちゃのような感じだ


「「「「ええええええ」」」」


突如、ゴーレムは崩れ始めた。そして、とうとうその場に残ったのは崩れ落ちていった破片しかない


「すごく弱そうなパンチだったのに・・お前すごいな」


「ああ、ありがとう」


褒められているのか馬鹿にされているのか難しいところだがここは素直に感謝した


「よくできたねスグル」


「はい」


ナナさんに褒められたのは意外と初めてかもしれない。俺のこのスキルは何というか自分の中にある黒いモヤを相手に流し込む的な・・そんなイメージである


「ねえリアム、このゴーレムの死体の中に剣があるよ」


巨大ゴーレムの中に隠されていた剣はこのゴーレムと同じ強度でできているようだ


「なるほど、このダンジョンの創造主はこれを託したかったのだろう」


今更だがダンジョンは過去の者が未来の者に力を託すことが目的であると言われている。その力というものが今回の剣に当たる


「んまあ、俺らにこの剣は必要がないからそっちにやるよ。その代わりこのゴーレムを構成してた鉱石、貰っていくぜ」


リアムはここの一番のお宝を譲ってくれた。このおかげで平和的に報酬の分配ができる


「いいよー、じゃあこの剣、スグルが使いなよ」


「本当にいいんですか」


「私はもう自分の愛用があるし」


ということで、俺は新しい剣を手に入れた・・ナナさんから貰ったから・・なな・・セブン・・


「あ、ラッキーセブンソード」


この名前の愛剣にしよう。考えようではあるが、ナナさんから貰った初めてのプレゼントだ


「ダサいかなー」


酷いネーミングセンスにナナさんは大笑いしている


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