第28話 王国会議
ライン王国では二度の襲撃を受け危機感を募らせていた
「コロニアス陛下、この遠征は中止すべきと考えます」
剣聖アリウスは事の重大さを誰よりも理解し現国王のコロニアス・ラインに発言した
今月で王都襲撃が二回起こった。犯人が捕まらない以上、次の襲撃に備えなければならない
「アリウスよ、敵はの目的は何だと思う」
「一回目はライン監獄の襲撃によって一名脱獄、二回目はマルクス邸の襲撃、ライン監獄襲撃、図書館の襲撃。目的は分かりかねますが考えられることは二つの事件は別の組織の可能性が高いと思われます」
マルクス様の身辺を整理していたところ、よくない噂があった。二回目はその逆恨みといった理由が一つ関わっているだろう
「なぜそう思うのだ」
「単純に共通点が少ないのと、二回襲撃するメリットがないと思われます」
今日は王国の重鎮を含めた重要な会議をしている。本来計画されていた、旧吸血鬼の勢力圏への偵察だ。領土拡大のため多くの利権が関わっているので遠征の賛成派は多数いる
「陛下、発言してもよろしいですか」
「なんだ申してみよ、カルロス卿」
王国内の貴族の一人、カルロス卿がアリウスの方を向いて発言する
「アリウス殿は二度の失態に加え、マルクス様にまで大きなケガを負わせてしまった。ここは責任をとって反逆者を捕まえるという任務のもと遠征に参加させるべきかと」
いったい何を考えているのだカルロス卿は
「いやそれは──」
最悪なことにアリウスの声を遮るよう他の貴族や大臣も同調し始めた。遠征という儲け話のことや僕を疎ましく思っている連中が多いのだろう
「と、カルロス卿は申しているがアリウス、何か言いたいことはあるか」
「はい、カルロス卿の僕への失態の追求は全くその通りだと思います。しかし、敵は強力です。私が遠征に加わることは陛下の身の危険に直結します」
だが、空気は遠征に肯定のままだ。まずい・・・
「陛下、私も発言してよろしいでしょうか」
この状況を打破したのは王国騎士団長のナバルデウスだ
「騎士団長か、申してみよ」
「私も今回の襲撃に対する責任がございます。なので、私に今回の遠征の指揮をさせていただけないでしょうか」
ナバルすまない。僕の意思を汲んでくれたのか。
「アリウス、それで良いか」
「仰せのままに」
反対する者もいたが、遠征自体はなくならずこの発言で私の遠征入りは回避できた。
「では、旧ヴァンパイア城跡への遠征を決定とする」
先日あった吸血鬼の女王の死亡という帝国からの情報をもとに旧ヴァンパイア城周辺の探索が主な目的だ。しかし、僕は疑念をぬぐい切れなかった
**************************
吸血鬼城に2つの影が忍び寄る
「へー、王国の遠征が決まったんだ。二人とも初任務の情報収集ご苦労だね」
「「はっ」」
「また用ができたら呼ぶね」
ああ、どうしたら面白いかな。少しワクワクする
「アリス、今誰かと話してなかったか」
誰かの話声が聞こえスグルはアリスの部屋の様子をうかがう
「お兄ちゃんせめてノックしよ。私も女の子なんだから。独り言聞かれちゃったよ」
「ああ、そうだな悪かった」
たぶんバレてない。セーフ
「もう遅いから早く寝ろよ。明日はピクニックなんだから」
「はーい」
お兄ちゃんとピクニックなんて楽しみだなあ
「おやすみ」
「おやすみ」
お兄ちゃんに嘘をつくのはなんだか心苦しかったな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます