第26話 師匠

「誰だ」


レオをいきなり吹き飛ばした謎の老人がスグルに立ちはだかる


老人は何も答えず距離を詰める


見た目はおじいちゃんなのに体のキレが良い。動きが全く衰えを感じさせていない


「はやっ―」


距離の詰め方が絶妙で、こちらの攻撃が当たらず向こうの攻撃だけを受け続けている


「嘘だろ、絶対に年齢詐称だろ」


そして攻撃を受けるのがやっと。ただあまりの速さに目で追えなくなってきた


「動きが鈍いですよ」


「まだ、俺は本気じゃないぜ」


スグルは来いよとファイティングポーズをとる


どういうわけか俺の動きがすべて捉えられてるな


「戦いは目を使うだけではいけません」


「なに言ってんだ、余裕ぶってると痛い目会うぜ」


遊ばれてるな、やばい・・これじゃ・・・


「爺や、そこまでだ」


突然何者かが戦いを制しする


え、ルミナ?


「失礼しました。お嬢様。そしてお待ちしておりました」


ええええ、ルミナの知り合い?


「付き添いの者の実力を測らせてもらいました。お嬢様の配下としてはとても見込みがあると考えます」


俺ってルミナの配下なの?


「爺や、二人を立派な戦士に育ててはくれないか」


「はっ、お任せを」


いやいや、勝手に。話が急展開すぎてついていけないんだけど。レオもそう思わない?


「ぜひ、俺を強くしてください。兄貴の役に立ちたいです」


しかし、スグルの期待を裏切るかのようにレオは同意する


ええええええ、レオいいのか。さっき初対面で理不尽に吹っ飛ばされてたよね。どうしたらこの状況に適応できるの。少しぐらい怒ってもいいんだよ


「「「・・・」」」


いや、あとはスグルだけだよ、みたいな目線を向けてこないでよ。はいはい、やりますよ


「あっ、よろしくお願いします。ところでなんとお呼びしたら・・」


「すみません、申し遅れました。私はルミナお嬢様の執事をしております、オティンと申します」


なんか呼びづれええええええええええ


スグルの頭にはよくないものが浮かんだ


「じゃあ、師匠でよろしくお願いします」


これでいいんだ。これが正解だ


「お―」


「レオ、お前も師匠呼びな」


呼びたくもないが、聞きたくもない。ただ決して師匠が悪いわけではない


「力仕事できる人が一人増えたってことか」


突然の登場だったが、労働力が増えるのは嬉しい。それにしても・・


「おい、ルミナはなんでここにいるんだ。お前は掃除担当だったろ」


ヒューヒューとルミナは何も知らないよというように口笛を吹く


コイツまさかカレンに仕事をすべて押し付けたのかよ


「ねえ、ルミナ。いったいそこで何をやっているの」


その様子を見た鬼がやってきた。ジ・エンドだ


「アリス、これは、その・・・」


久々にアリスがキレてるの見るかもしれない。ルミナ、これは詰んだな。俺はもう知らないよ


「一週間お菓子抜きを宣告します」


いやあああああああ


森中にルミナの断末魔?が響き渡った

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