第15話 ライン王国
第三王子マルクス・ラインは自身の部屋で悪趣味な実験をしている
「素晴らしい、ああ、なんて素晴らしいんだ」
マルクスは刃物で少女の体を切りつける。だが、少女にできた傷はすぐに癒えてしまう
この娘にどんな傷を負わせてもすぐに治るなんて、さすが不死鳥だ。あとはこいつからこのスキルを奪えば・・私は不老不死という人間の境地に立つことができる。しかし、スキルは本人の意思でしか人に渡すことができないのが厄介だ。
一人の兵士がある報告をしに参上した
「マルクス様、実はその・・」
「おい、コイツの兄は捕らえたのか」
コイツの兄を人質に、スキルを・・
「いいえ、昨日向かわせた王国兵士は今朝、死体で見つかりました。あの者に兵士を倒す力はないと思われるため、この件には第三者が関わっている可能性があります」
第三者?この件は兄上たちにも知られていないはず。だがもしそうなら少し厄介ではあるな。
「テスターはいるか」
テスターと呼ばれ、長身の忍者のような男が現れる
「はっ」
テスターは私の部下の中で一番強い。なぜならスキル持ちだからだ。この世界でスキルを持つことが出るのは、勇者、魔王、高魔力保持者といった希少な存在たちだ。
「コイツの兄を連れてこい。他の奴は殺しても構わない」
「承知しました」
これで次期国王は私の手に・・
私はルミナとお兄ちゃんを探しに出かけていた。実際にはスグルの位置は把握しているので探すというより迎えに行く、が正しいかもしれない。
「朝から殺人事件だなんてこの町も物騒ね」
「うん、でもちょっと待って」
アリスはこの事件に関心を向けた
あの死体の傷・・それに・・これは
「アリス、それ何持ってるの?」
「弾頭だよ、お兄ちゃん詰めが甘いね」
なるほど、ここでお兄ちゃんは事件に巻き込まれたのか
この世界にはおそらく銃など存在せず、所持しているのはお兄ちゃんとアリスだけだろう
「ダントウ?なにそれ」
「この魔道具から発射された弾だよ」
常に装備しているピストルを見せてあげた。魔道具じゃなくて普通の道具なんだけどね。
「えっ、じゃあスグルがやったってこと?」
「ほぼ確実にね」
ライン王国内ではもう犯罪者扱いをされているかもしれない。ならもう王国内部に侵入する口実ができた。
「ルミナ、お兄ちゃんを捕まえたらこの国から出てルミナの故郷に行くよ」
「この国に宣戦布告するのね」
うん、ライン王城にあると言われてる大量の書物も読みたいし。
「この先を右に進んで―」
スグルの位置を見ながらアリス達は進む
そして、貧民街へとたどり着いた
この後、私たちはお兄ちゃんを連れて帰ろうと思ったが事情が何となく分かったので、こっちは別で作戦を立てることにした。
「今回、ルミナの役割は―」
ひとしきり作戦を伝えてバラバラに行動を始めた
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