第4話 仲間

次の日、また次の日とクエスト、走り込み、帰って宿で筋トレというサイクルを繰り返した。その間には王国の宮廷がテロにあったり、アリスが錬成魔法でハンドガンを作ったり、夢に変なお姉さんが出たりと慌ただしい一週間を過ごした。特にアリスの魔物を見るやいなや考えなしに突っ込むのは勘弁してほしい


「また銃なんか作ったの、この世界に存在しない武器とか反則じゃん」


アリスは銃を構え、魔物を討つかのように口でバンっと言っている


「だってアリスの脳内に設計図があったんだもん、護身用です!」


そんな警察官のように敬礼されても困る。まあ、異世界を生き抜くんだから甘いことは言えないか


クエストで得たお金で鉄を買ったようだ


「それにしてもあんなにお金稼いだのに、もうほとんど残ってないんですけど、アリスさんご説明を」


「あのぉ・・・魔導書が少し高くて・・・」


魔導書とは読むことで特定の魔法が使える書だ。雑貨屋のミゲルさんから特別にもらったファイアーボールとその他自腹を切った錬精魔法、回復魔法、あと邪道魔法だっけ


「なんだよ邪道魔法って」


「別にいいじゃん」


アリスはほんと何を考えてるか分からない


「今日は難易度上げちゃうよ、お兄ちゃん準備はいい?」


今日は高難易度のクエストを受けると聞いた。だが心の準備はできている


「任せろ!」


アリスに比べれば劣ってしまうが、もといた世界の戦闘技術のノウハウは備えている。そこらの冒険者よりは戦える自身だってある。俺の武器って?短剣とこの拳さ、と言いたいとこだがアリスにもらったハンドガンも装備している


「防具とかつけてないけどほんとに大丈夫なのか」


「前にも言ったけど、高いし、つけると動きにくいもん」


俺はともかく、アリスにはつけてほしい。いくら強いからって、もしもの時があるかもしれないからな。


「ところでアリス、なに食べてるの?」


アリスがこっそり何かを口にしているのが見えた。


「お菓子、作ったんだよね、でもあげないよ~」


アリスはスグルに見えないようお菓子を隠す


なんだよ、ケチだな。でもそんなことより今日は危険な冒険だから緊張感をもたないと、緊張感、緊張感


今日こそはさすがお兄ちゃんって言わせてやる


「今日はよろしくお願いします」


背後から突然何者かに声を掛けられスグルはびっくりした


「ええっと、どちら様ですか」


目の前から全く知らない、金髪のイケてるお兄さんが握手を求めている


「ごめんお兄ちゃん、まだ分からないことが多いし、今から行くところは危険だからベテランの冒険者さん達に協力してもらったの。」


なるほどそういうことか、って少しくらい俺に相談してくれよ


「どうもC級冒険者パーティーのリーダーのマルスです、スグルさんよろしくお願いします」


その他、回復役のリリス、巨大なハンマーを持つウォールズの三人だ。少し警戒したが、出発してから少し話して始めるとみんな人柄もよくて好印象だった


「アリスさんはとても賢いお方ですね、私に協力を求めてきたときにとても感じましたよ」


「そうなんだよ、賢すぎてこっちが振り回されるんだよね、ほんと羨ましいよ」


「スグルさんだってすごいんでしょ」


いやいやそんな謙遜しないでくださいよ、みたいなことをマルスさんは言うがアリスは賢いとかそういう次元じゃない。あんなかわいい顔してもといた世界でトップクラスの性能を持つスーパーコンピューターよりも性能が高いのだ


「さて、ここから先は魔王である不死者の大王の支配地域に近いエリアです。集中していきましょう」


そう、今日は魔王という強力な魔族が支配している勢力圏ギリギリでのクエストだ。死者の森の手前でのモンスター討伐が今回の目的である

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