第45話 今週こそ2人で買い物に行こう
心の中で悩んだ結果、俺は彩音の未来視を教えて貰うことにした。
「なあ、彩音…… お願いがあるんだけど……」
「ん?? どーしたの、お兄ちゃん」
「頼む!! 彩音の未来視を俺がマスターするまで教えてくれ!!」
俺は彩音に頭を下げた。
自分のことを世界最強だと思っていた俺が、まさか妹に強くなるための技術を教えてもらうことになるなんて、昔の俺だったら考えてもなかっただろう。
でも、俺は何としても彩音やグランディネアを超えて世界へ行って頂点を掴む、そのためならなんでもやってやる。
「ん〜 いいけど 結構練習が必要で、有栖ちゃん達は途中で投げ出したけど、それでもやる〜??」
「うん、俺は強くなりたいから そんな簡単に投げ出したりはしないよ」
「お兄ちゃんの覚悟は伝わったよ〜 んじゃあ、今日から毎日サーバーで練習しよ!!」
「ああ、よろしく頼む……」
そんな感じで、俺の修行が始まった。
修行の内容は、まずはアジアトップレベルのエイムで飛んでくる弾丸を予測して回避するところから始まった。
初日である程度できるようになってから、今度は複数人の弾丸を回避する練習をした。
特に有栖ちゃんのスナイパーは、超遠距離から放たれるために全く避けられる気がしなかったが、彩音にコツを教えて貰ったことで5割程度できるようになった。
そんな感じで毎日練習して3日後の木曜日、俺は7割程度完成した。
「できた…… はぁ…… 疲れた……」
「いいんじゃない?? とりあえず、お疲れ様〜」
「ぜぇ…… はぁ…… どんな状況でも冷静に弾丸予測とか言って、腹筋背筋のストレッチやらせたけど、さすがにこれは嘘の知識だろ……」
俺は息を上げながら、額の汗をタオルで拭いた。
「お兄ちゃんの運動不足の解消と未来視、どっちもいけて結果オーライ!!」
「やっぱり、関係ないじゃんか……」
「えへへ〜 ごめんね〜 でも、お兄ちゃんの未来視もほぼ完成と言ってもいいんじゃない??」
「それに関しては、本当にここまで付き合ってくれてありがとうございます……」
いじられてたとは言え、俺の未来視も彩音とまではいかないが出来るようになった。
毎日18時から24時まで、風呂休憩を除いて5時間強を3日間、さすがに大変だった。
一応俺はアジアソロ最強と呼ばれるくらい実力があるが、まさか3日もかかると思わなかった。
ゲームをそんなにした事ない状態から、これをできるようになった彩音は本当に努力したんだと思う。
「ありがとな、彩音……」
「うん!!」
俺が感謝の言葉を伝えると、彩音はニコッと笑った。
「つか、こんな長いこと付き合ってもらっからさ 今度は彩音のお願いを何かするよ」
「え、いいの??」
「ああ…… まあ、俺のできる範囲なら なんでもいいぞ」
さすがにこんな長いこと練習に付き合ってもらったから、俺は彩音のお願いを聞くことにした。
実際、彩音レベルのコーチングとか10万円でも安いレベルの最強プレイヤー、兄妹とは言えタダでとは言うつもりはないし、貸しを作るのも嫌だ。
「ん〜 なら、今週の土曜日に私と買い物に行こ!!」
彩音は嬉しそうに、提案をした。
「それくらいでいいのか……??」
「それくらいって…… 私はお兄ちゃんと遊びに行けるだけでいいよ??」
「うっ……」
彩音が笑顔でそう言ったので、シスコン限界あいうえオタクの俺は思わず心がキュンとなった。
(まてまて、落ち着け……)
俺は深呼吸をして、心を落ち着かせた。
「そ、そうか…… まあ前回行けなかったしな、今週はどーせ予定ないからいいよ」
「良かった〜 なら今度こそ行こうね!!」
彩音は俺の手の近くに手を置いて、小指を突き立てた。
「約束だよ??」
俺は彩音の小指に、自分の小指を結んだ。
「うん、二度と寝坊なんてしない……」
俺がそう言うと、彩音はふふっと笑った。
「もう11時か……」
俺が時計を確認すると、集中していたからか11時を過ぎていたことに気が付かなかった。
「明日も学校あるし、私はそろそろ寝るね おやすみ〜」
「うん、おやすみ彩音」
彩音は立ち上がり、俺の部屋を出た。
「よし、遂に俺もできるようになった これで2人を超えられる」
俺は彩音が居なくなったので、部屋で1人よろこんでいた。
ようやくスタートラインに立った感じだ。
これから完成度を上げたり、俺独自の技術を生み出すつもりだ。
「ふぅ…… 疲れた…… いてて、筋肉痛……」
俺が肩のストレッチをしようと動かすと、筋肉痛で腕が痛んだ。
それに毎日長いことゲームをしていたので、さすがに目が疲れていた。
俺は横になって、SNSを開いた。
SNSを見ると、キングダムに移籍したアジアランキング元3位のレインがチームで揉めて大会メンバーから外れたという記事が目に留まった。
理由はチーム内での意見の食い違いと書かれていて、詳細を見ることも出来たけど、俺と関わりがないので記事の途中だが見るのを辞めた。
「へ〜 あいつも大変やな まあどーでもいいし、寝るか〜 学校行きたくねぇ……」
俺は部屋の電気を消して、眠りについた。
※後書き
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