第41話 『速報 アジア最強のソロプレイヤーYUUがハーレムデート』

「え〜 ここでは三角関数が使われていて…… あ、チャイムがなりましたね 続きは明日の授業でやります」


 キーンコンカーンコンと、数学教師の先生が話している途中で学校のチャイムが鳴った。


「起立、礼!!」


 俺たち生徒は、クラス委員の人の合図に合わせて礼をして昼休みとなった。


「なあ、悠也〜 最近どうよ」


「まあ、いつも通りよ」


「そっか〜 なら久しぶりに飯いこうぜ!!」


 俺は東寺と一緒に食堂へ向かった。

 

 最近東寺とは疎遠になっていた。

 理由は東寺のバスケ部の新人大会が来月に控えていて、そのメンバーで作戦会議やご飯を食べている。


 少し寂しいが、俺には強力な仲間という名のインターネット君がいるし、中学時代ぼっちだったので嫌でも慣れている。


「来月だっけか、新人大会……」


「そーだよ!! 俺は一応1年じゃエースってことになってるから、先輩に絡まれること多くて、なかなか悠也と飯食う時間取れなくて悲しいぜ〜」


「なんか、そう言われると嬉しいな ありがとう」


 俺がそう言うと、東寺は俺の肩を組んだ。


「やめろ」


「いいじゃね〜か、俺とお前の仲だろ〜」


「それはそうだけど、暑いからやめろ」


「はいよ、相変わらずクール系だな〜悠也、もっとたくさん話をしたら友達増えるぞ〜」


「余計なお世話だ」


 俺たちが話をしていると、売店についた。

 俺はサンドイッチ、東寺は梅おにぎりを買って屋上に行った。


「最近は1人でここにいるから、なんか人がいるの新鮮だ」


「寂しいか??」


「いや、全然」


「まーた 冷たい〜」


「はいはい」

 

 俺たちは雑談をしながら、昼ごはんを食べていた。

 

「最近はドラレンやってるの??」


「いーや、バスケが忙しくてやめた〜」


「そうか……」


 数秒間、無言になった。

 久しぶりに話す時、何を話せばいいかわからない。


 ギリギリ話せるドラレンの話もできなくて、なんか気まずい。


「そういやこの間、俺の推しのあちゃんが、大会で優勝したんだ すげーよな!!」


「ぶっ……」


 東寺から、いきなり彩音のことを言われたので思わず吹き出してしまった。

 

 まさか、最終戦の相手が目の前で飯を食っているやつなんて言えない。


「おいおい、早食いして喉に詰まったか??」


 俺は売店で買った、お茶を飲んで喉に詰まったサンドイッチを流し込んだ。


「あぶなかった……」


「まあ、ゆっくり食おうぜ」


「そ、そうだな……」


 俺は気を落ち着かせ、スマホを開いた。

 そう言えば学校に入ってから、通知で身バレしないようSNSをミュートにしていたが、今日はやけに通知が溜まっていた。


(なんだ??)


 俺がSNSを開くと、そこには『速報アジア最強のYUU 美少女2人とハーレムデート』という投稿がトレンドになっていて、今日の10時ごろに投稿されたものだが1万を超えるコメントがあった。


(は?? 何??)


 俺は焦りながらも、投稿を確認するとそれは昨日彩音と可憐と3人でランキング戦をした時の相手の人が投稿したものだった。


 匿名モードでやっているが、アバターや動きでほとんど本物だと特定されていた。


 ネットの反応を確認すると、『あちゃん、KARENの2人の美少女とのデートとか天国か??』、『2人のどっちと付き合ってるんだろう……』、『KARENさんが休止した理由はまさか……』などさまざまな憶測がされていた。


 俺が焦っていると、電話が来た。

 電話の相手は可憐だった。


「わりぃ、ちょっと電話きたから先行くわ」


「OK〜 ま、まさか、彼女??」


「違うわ!!」


 俺は屋上の貯水タンクの横に行き、通話アプリを開いた。


「もしもし〜 大変なことになったね〜」


「いや、なんでそんなに呑気なんだよ……」


「まあなんとかなるかな〜って感じ、あちゃんの事務所はコラボ動画の撮影っていう表明を出してたから、向こうになんとかしてもらうのを待つしかないよ〜」


「まだ見てない、確認する」


 俺は彩音のチャンネルを確認すると、来週公開のキル集の撮影の元、2人のプレイヤーに協力してもらったと記載されていた。


「俺が止めるべきだった、妹は一応アイドル的存在だ、プライベートマッチとかにすれば良かった…… それに事前に妹がアイドルだと説明とかしてなかったし…… その、巻き込んですまない……」


「いや、ボクは全然気にしてないから大丈夫〜 それより妹さんが面倒事に巻き込まれるのが、心配だよ〜」


「うん、大事にならないといいが……」


 可憐と話していると、午後の授業開始5分前のチャイムが鳴った。


「悪い、とりあえず俺が直接事務所へ謝りに行く」


「わかった〜 とりあえず、午後の授業も頑張って」


「うん……」


 俺は可憐との電話を切った。


 オタクの逆鱗に触れるとヤバいと言うのは、俺が1番知っている。

 彩音はSNSを運営に制限されている(運営が管理で直接見てない)ので、暴言とかは大丈夫だと思うが、運営には俺が直接謝りに行くべきだと思う。


 startubeの運営会社、代表取締役社長『宇佐見淳一郎』さん。

 恐らく、緋奈ちゃんのお父さんだろう。

 

 とりあえず真っ先に、1番偉い人に頭を下げるつもりだ。


 場所を検索すると俺の家から徒歩10分、高級住宅街の隅にあるビルが本社みたいなので、俺は学校の帰り道に行くことを決めた。


※後書き

読んでいただきありがとうございます!!

よろしければ、左上にあります星をクリックや感想、ブックマークをしていただけると今後の活動の励みになります!!

https://kakuyomu.jp/works/16817330654169878075#reviews

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る