第39話 お兄ちゃんの嘘つき……

「よし、とりあえず10連勝だな」


「さすが、やるね〜」


 ラリーが帰ったのちに、俺は可憐の担当医の斉藤先生と話した。

 ゲームをできる時間は1週間で3日、平日は2時間、休日は4時間という時間制限で大会に出る子を許可してもらった。


 それと体調が悪化したら、その日は強制終了らしい。

 だが、思っていたよりも制限が緩くてよかった。


 先生と話したのち、俺は帰宅して可憐と2人モードのカジュアルマッチをしていた。

 カジュアルと言っても、俺や可憐の内部レートで相手が決まるため、相手は大体が前回ランキング〇〇位や元プロみたいなのにしか当たらない。


 ただ、今まで組んだ人の中で戦いやすくて正直負ける気がしない。

 可憐の弱点の近距離も、可憐の中遠距離が強すぎてそこまで近づけることができずに敵を全滅してるので、ないようなものだ。


「ちょっと休憩させてもらうね」


「はいよ〜」


 可憐が休憩のため、ボイスチャットを抜けたので俺はストレッチをして水を取り行った。

 冷蔵庫から水を取って、俺が部屋の前に行くと彩音が部屋の前にいた。


「ん?? どうした??」


「お兄ちゃんの、嘘つき……」


「え……??」


 可憐はそう言いながら、スマホで俺のゲームのフレンド欄を見せた。

 そこにはプレー中『YUU』、『KAREN』と記載されていた。


「お兄ちゃん、彼女じゃないって言っていたのに…… さっきもおしゃれしてたし、デートとか……」


「いや、違う!! 誤解だ、可憐はチームメンバーだから!! 恋愛とかじゃない、それに今日初めて会ったんだ!!」


「会った……??」


「……」


 俺は彩音の誤解を解こうとすると、地雷を踏んでしまった。

 こんなに怖い彩音を俺は見たことがない。


(なんでこんなに怒ってるんだろう…… ヤンデレの彩音……ってそんなこと考えてる場合じゃない!!)

 

「とりあえず、お兄ちゃんに相応しい人か見てもいい??」


「い、いや…… それはその……はい」


 可憐に妹がアジア1位の覇者だと知られるのはまずいと思ったが、それよりも誤解されたままの日常の方がまずいと思い、断れなかった。


 俺は部屋に戻って、パソコンの前に座ると俺のパーティに彩音が入っていた。


「ねえYUU、この子って、どちら様??」


「私は、YUUの妹です!!」

 

「……」


「そうなんだ〜 よろしく〜」


「はい、よろしくお願いします とりあえず1戦いきませんか??」


 彩音はそう言って、ランキング戦を選択した。


「いいよ〜 まあ3人だし野良は入れなくてもいいか、YUUもいいでしょ??」


「ああ……」


 こうして世界最強が認める最強の少女、アジアランキング覇者、ソロ世界初称号のドリームマッチが始まった。

 誰が予想しただろうか、こんな世界最強チーム。

 だが、とてつもなく空気が重く感じる。


 そんなことを考えていると、試合が始まった。


「あちゃんって、何使うの??」


「えっと、サブマシンガンを使います!!」


「りょーかい、んじゃあボクがアサルト持つから、YUUもSMG頼むね〜」


「はいよ」


 マップは砂漠、先に敵4人倒した方の勝ちルール。

 俺は彩音と、一緒に敵陣へ向かって行った。


「お兄ちゃん」


「は、はい なんですか??」


「その…… 一人称がボクだけど、KARENさんって男の……」


「ボクは女だよ〜 いえい」


 彩音がそう言うと、可憐が俺たちの後ろから現れてピースをしながらそう言った。

 

「そうなんですか…… 兄とはどんな関係で……??」


「ん〜 それは言えないかな、秘密の関係??」


「……え??」


「違う!! チームメンバーだ、本当に!! 神に誓ってもいい!!」


 彩音が怖くて、咄嗟に返事をした。


「本当のことを言うと、チームメンバーだよ〜」


「そ、そうなんですか…… よかった……」


 彩音は可憐の言葉を聞き、なんだか安心していた。

 俺も彩音がいつもの優しい感じの声に戻ってほっとした。


 そんな雑談をしていると、敵の弾丸が彩音に向かって飛んできた。


「あちゃん、前!!」


 可憐が彩音を助けようと、武器を地面に捨てて飛び込もうとしたので俺は可憐を止めた。


「まあ、見ていてよ 面白いもの見られるからさ」


「??」


 彩音は飛んできたアサルトライフルの弾丸を、最初の数発は首を左右に振って避けて、胸の辺りに飛んできて回避できなさそうな1発をサバイバルナイフで弾き飛ばした。


 可憐は彩音の神技を見て、思わず立ち止まった。


「う、嘘でしょ…… なんで今の一瞬で判断できるの〜??」


「な、なんとなくです!!」


「って言うか、魅せプレーでしかやらないでしょ、弾丸弾くの…… あれ狙ってやるのすごい……」


 可憐は彩音のプレーを見て、褒めていた。


「えへへ、なんか褒められると嬉しいです!!」


「君の妹、本当に何者??」


「いや、これに関しては俺もさっぱり…… 本当になんでこんなに上手いのか俺もわからない……」


「お兄ちゃんも褒めるのやめて、照れるから……」


 俺たちが話をしていると、今度は全員均等に弾丸が飛んできた。


 可憐は弾丸をジャンプを駆使して避けながら、アサルトライフルをスナイパーに向けて放ち、スナイパー2人を一瞬で倒した。


「いえい、ボクが最強〜」


「凄い…… 私より中距離のエイムが綺麗……」


 彩音は可憐のエイムを褒め、驚いていた。


「そう言って貰えると嬉しいよ〜 んじゃあ、後は2人よろしく〜」


「了解です!! 行くよお兄ちゃん!!」


「ああ…… 任せろ!!」

 

 俺と彩音は弾丸を避けながら、アサルトライフル持ちの敵に接近してお互い1人ずつSMGで敵を倒した。


「余裕だな……」


「やった!!」


「おつかれ〜 」


 俺と彩音が敵を倒すとYOUWINの文字が表示され、俺たちは3人で最高ランク帯の敵を瞬殺した。



 



※後書き

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