第38話 最初の仲間
「気持ちは分かる…… だが、YUU君 可憐は体が……」
「わかってます、でも俺は彼女と一緒に戦いたいんです」
俺は強引に思っていたことを言った。
どうしてだろうか、俺は思春期以降初めてこんなに自己中心的な発言を言った。
彼女の夢を叶えたいからか??
いやそんな偽善じゃない、俺は俺自身のため、俺が彩音やグランディネア、そして目の前のラリーを全て倒して世界王者になるためだ。
俺は可憐の方を見ると、可憐と目が合った。
「……君に、ボクの何が分かるんだ」
可憐はそう言って、ベッドのサイドテーブルを軽く叩いた。
ドンという音が病室の中に響いた。
「ラリー、2人で話をさせて……」
「わかった……」
ラリーは可憐に言われ、病室から出た。
「君は何だ?? ボクの何を知っている、初対面じゃん…… それなのに、いきなり世界大会のメンバーに誘う…… そんな優しさなんて要らない!! 帰って……」
可憐はそういい、俺を追い返そうとした。
俺は下がらす、思っていることを言うことにした。
「……優しさで言っていない、それにこれは俺の我儘だ」
「……??」
「俺はアジアリーグでこのままだと勝てずに終わる…… 力を貸して欲しい」
「ボクは近距離戦が出来ない…… 探せば強い人なんていくらでもいるだろう……」
「仮に近距離戦闘になって、無理そうなら諦めるか、俺のとこに全力で来い、俺がそいつを倒す」
「それにボクはできる時間が限られている…… カスタムや大会の日は申請するけど、毎日はできない……」
「何日出来なくても、実力は落ちないくらい君は強いからそれは問題ない」
「こんな病に苦しむ弱いボクをどうして……」
「俺は君を、弱い人なんて思っていない…… むしろ強い人だと思う」
「……え??」
「仮に俺が君の立場なら、スタート地点にもいない…… だが君は挑戦し、結果を見せた そんな君が弱いなんて言うなよ……」
俺が可憐に思っていることを全て伝えると、可憐は涙を流した。
可憐はティッシュで涙を拭き、俺の方にそっと手を出した。
「どうした??」
「……なら、お言葉に甘えさせていただくよ……」
可憐は俺の誘いを受け入れてくれた。
まさかこんなに急に決まると思わず、俺は内心驚いていた。
「別に感謝される筋合いはない、それよりいいのか?? 強引に進めてしまったけど……」
「家族や先生はボクの人生、そんなに無理のない範囲なら応援するって言ってたから大丈夫」
「そうか…… でも、どうして急に乗り気になったの??」
俺が可憐に質問すると、可憐は手招きをした。
俺が可憐の横に行くと、可憐は俺の前に手をさし出した。
「ボクと対等に接してくれた人は、久しぶりで嬉しくてさ〜 これからよろしく『リーダー』」
「なんか照れるからリーダーはやめて…… まあよろしく、可憐!!」
「うん!!」
可憐はさっきまでの弱々しい感じの声から、初めてあった時の適当で明るい感じの雰囲気に戻ってなんだか嬉しい。
俺は可憐とグータッチをした。
「ラリーさん、あなたは2年間面会に来てる友達だからと言って、患者の不調を知るための機械で盗聴まがいのことをするのはいけませんよ」
「いや〜すまない、俺が入るのは野暮かなって思ってつい…… それより、いいんですか?? 斉藤先生」
ラリーは可憐の担当医の斉藤先生と、別室で悠也と可憐の会話を聞いていた。
「可憐さんの両親には、彼女が無理のない程度にならなんでも応援すると言われていますし、我々も彼女を応援するつもりです ただ、通信制の学校もあるので、体に無理はさせないつもりです」
「そうですか、なら安心です」
「いえいえ、それより私はゲームのことは詳しくないんですが、ラリーさんは可憐とあの少年を組ませたかったんですか??」
「いいえ、彼女のメンタルケアのため面会だけで組ませる気は全くありませんでした、まさかこうなるとは予想もつかなかった」
「そうですか、でも内心嬉しいって思っていますよね」
「ええ、なんとなく俺はYUU君と可憐なら、きっと頂点まで来るって思うんです」
ラリーはそう言って、バッグを持って事務室から出ようとした。
「んじゃあ、今度の面会は大会後かな!! さようなら斉藤先生」
「彼女たちのとこにはいかないんですか??」
「ああ、もう可憐も立派な『挑戦者』だ 俺が新しい世代の会話に入って邪魔するわけにはいかないからね」
ラリーはそう言って事務室を出た。
「確かにこの立ち回りなら全然いけるかも〜」
「そうでしょ!! 俺が前線に立つ、そして可憐が指揮をとって…… ん??」
俺が可憐とゲームのことで話をしていると、ラリーから俺にメッセージが届いた。
メッセージには『ようこそ挑戦者、頂点で待っているから必ず来い』とまるでRPGの魔王のようなメッセージが届いた。
「ああ、やってやるよ…… 待っていろよ世界最強……」
俺はラリーからのメッセージを見て、ますますやる気が湧いてきた。
「絶対に勝つ〜 っていうか、なんでボクたちが組んだこと知ってるんだ??」
「確かに……」
俺と可憐はなんで組んだことを外にいるラリーが知っているのか疑問だったが、考えるのをやめてゲームのことを話し始めた。
※後書き
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