深夜にお〇んぽだし
下垣
「ち」と「さ」って文字の形が似てるよね
深夜に高校の制服を着ている1人のギャル。彼女は、某激安の殿堂の店の買い物袋と大きめのバッグを手に裏路地を歩いていた。
「あー、そこのきみ? ちょっといいかな?」
警察官がギャルを引き止めた。ギャルは不機嫌そうに眉をひそめて警察官に向かって舌打ちをした。
「あ? なに?」
「こんな時間になにしてるの?」
「さんぽだし」
「深夜に?」
警察特有の偉そうな態度にギャルはぴきぴきと怒りのゲージを溜めている。
「関係ねえだろ」
「あのね。この辺ね。治安悪いの? わかる? きみ、名前は?」
「
「ふざけてんの?」
「ふざけてねえし!」
「いやいや、そんな名前の人おるん?」
「文句は親に言えよ。あたしが自分で名付けたんじゃねえんだし」
「ああ、とにかく。学生証出して?」
「は? 学生証? 持ってねえし」
千紗が学生証を持ってないことに警察官は呆れてしまう。
「あのねえ。こんな時間にほっつき歩いて学生証も携帯してないってなんなの?」
「いや、だから携帯とかじゃなくて持ってないっつってんだろ」
「あのさあ、きみ。どこの学校?」
「きたしょーだよ」
「ああ、商業高校ね」
警察官は苛立った様子でメモを取り始めた。
「は? ちげえし。小学校だよ」
「いやいや、小学校!? 無理があるでしょ!」
千紗のあまりに意味不明な発言に警察官は思わずツッコミを入れてしまう。
「無理ってなんだし! ふざけんな!」
「いやいや、その身長で小学生は無理があるでしょ。大体にして、小学生がなんでそんな制服を」
「は? ちげーし。あたし、小学生じゃねーし」
「おいおい、大人をからかうのもいい加減に……」
「あたし、教師だし」
「え?」
警察官は固まった。今までの常識がひっくり返る。コペルニクス的転回が発生したのだ。
「おら、免許証。あたしは26歳」
「な、なんで高校の制服来てんの?」
「コスプレ。さっき、そこの激安の殿堂で買って来た」
「は? あ、いやその……買ったものをすぐに着たと……?」
「悪い? 着替えはこの中に入ってる」
千紗は大きめのバッグを警察官に見せた。流石に女性の衣類が入っていると言われたので警察官も中を改める気にはなれなかった。
「教師……やってんの?」
「あ? ギャルが教師やってちゃ悪いってのか?」
「あ、いや。悪くないです。はい」
こうして、高校生を補導してやろうと息巻いていた警察官なのに、26歳の教師に職質するという悲しい出来事が起こってしまったのだた。
深夜にお〇んぽだし 下垣 @vasita
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