深夜の散歩で起きた出来事 〜ラブコメ?〜

アキノリ@pokkey11.1

拾ってくれて有難う御座います。

第1話 貴方へ(上)

「ご主人様。貴方を愛してます。拾ってくれて有難うございました」


「.....」


俺、菅生薫は。

いきなり犬が消え。

その代わりに煙と共に現れた裸の美少女を見ながら顎を落としていた。

何が起こっているのだ、と思う。


夜、散歩をしていて偶然見掛けた犬を拾った。

そして洗ってあげたらその犬がいきなり煙を上げて変身したのだが.....。

お前何言ってんの?と思うかもしれないがマジな話だ。


「.....あの。君誰.....?」


「前の飼い主にはユキと言われていますが.....今はそんなものどうでも良いです。.....是非、名前を付けてくれませんか」


「.....」


ハッとした俺。

それから取り敢えずは、服を、服!、と思いながら俺は慌てる。

それから俺は慌てて.....服を探すが。

可愛らしいものは何も無い。

そりゃそうだな。

俺の家は男一人暮らすアパートだしな。


「と、取り敢えずYシャツで良いかな!?」


「?.....あ、はい!」


「名前を付けるとか付けないとかは今は置いて!」


「はい!ご主人様!」


言いながら俺はそのまま可愛らしい美少女、女の子を見る。

こうして見るとやはり肢体は女の子、ってんな事を言っている場合ではない。

これは目線を向けれないではないか。


思いながら俺は赤くなって顔を背ける。

それから、何故こうなってしまった?、と考えた.....。

事態は1時間前に遡る。



そもそも俺、菅生薫(27)は冴えない。

何が冴えないかって言えばそうだな.....まあ簡単に言えば顔も冴えない。

そんな顔も冴えなければ頭脳も冴えない。


そして何よりも全てが冴えない。

なので俺は社会の隅。

石ころの様な存在だった。

そんな俺だが彼女が今は居る。


同期入社で俺に会社で告白してきた女の子。

物凄く可愛い女の子。

というか俺が惚れているからそう見えるのかもしれないけど。

俺にとっては全てだった。


名前を凪巣空絵(なぎすそらえ)さん。

首までの短髪の口元のほくろが印象的な女性。

天然ながらも一生懸命頑張るその姿に惚れてしまい。

いつか告白しようと思っていたのだが。

俺に告白してきたのが彼女だった。


「それじゃ相思相愛だね」


「.....あ、ああ」


そんな感じで空絵さんに言われた時は。

天に舞う気分だった。

俺はそんな空絵さんを何時迄も守りたい気分で.....人生で初めての彼女を見守りながら時には助け合いながら。

生きてきていた。


そしてそんな空絵さんと飲み交わしての帰って来てから。

俺は酔っ払った状態で.....夜に酔いを覚ます為に歩いていると。

段ボールに、拾って下さい、と書かれてから。


捨てられているミックス?犬を見つけた。

俺をジッと見てきており。

そのまま見捨てる事が出来ずに俺は連れて帰って来てしまった。

汚れていたので俺は風呂に入れる事に.....した.....のだが。

それで今に至る。



「ご主人様」


「.....な、何かな」


「名前。決まりました?」


目の前の少女を改めて見る。

女子高生レベルな顔立ち。

身長もそんなに高くなく思春期の女の子っぽい。

茶色の尻尾、茶色の耳を伴う少女。

つまり.....完全な、犬、に近いが.....体は人間だ。


「.....そ、そうだね.....その。.....その前に君は人間なの?」


「私は人間であり。.....人間では無いです。.....ミックス犬と人間のハーフです」


「.....そ、そうなんだ.....」


「私は.....ご主人様に捨てられた理由が未だに分かりません」


「.....」


俺は困惑しながらその姿を見る。

すると彼女は涙を浮かべながら、私.....大切にされていたんですけどね、と言う。

俺はその姿を見ながら、そうなんだね、と話す。

そうして見ていると、でも、と俺に笑顔を見せる。


「貴方はご主人様と同じ様な香りがします」


「.....帰らなくて良いのか?」


「帰る場所はないですよ。前のご主人様は外国に行ったので」


「.....酷い話だな」


「私は酷くショックでした」


眉を顰めながらその姿を見つつ俺はつい抱き締めてしまった。

泣いている彼女を放って置けない。

それから頭を撫でる。

って俺は何をしているんだ!!!!?

幾ら犬さんだから、と言って女子の様な女の子に.....!


「優しいですね。.....ご主人様」


「.....すまん。見てられなかった」


「ワン、です。嬉しいですよ」


そして彼女の尻尾が動き出す。

俺は?を浮かべながら見ていると寄って来た。

それから俺の胸に手を添える彼女。

そうしてから俺を見上げてきた。


「ご主人様」


「な、ちょ.....」


「私の名前。決めてくれました?」


「.....そ、それは.....」


浮かんでいる名前ならある。

俺が、いや。

前に俺が飼っていた愛犬だ。

そいつの名前が浮かぶ。

それから俺は耳を頻繁に動かしている彼女を見る。


「リラ.....」


「.....リラですか?.....良い名前ですね」


「.....つい呟いたけど.....それで良い?名前」


「.....はい。素敵な名前です。.....リラ、良いですね」


「.....」


彼女を見ながら俺は大切な絵空を思い浮かべる。

それから俺は、そうだな。今、大切な事はきっと.....こうして大切な事を構築していく事だな、と思う。

そしてリラを見ていると。

リラは、暑いですね、と言ってから服を脱いだ.....おウィ!!!!?


「何やってんだお前は!?」


「え?犬って元は裸ですよ?.....何かおかしいですか?」


「そ、そういう問題じゃない!今は女の子だから!人間体型!」


「.....?.....私は平気ですが.....」


「俺がダメだっての!」


ご主人様に何を見られても平気ですよ?、とリラは尻尾を振る。

それから満面の笑顔を浮かべる。

俺はその姿を見ながら額に手を添える。

そして首を振った。


「ゴメン。俺の前では君は刺激的すぎる。.....だから.....」


そこまで言った時。

インターフォンが鳴った。

俺は?と思いながら、リラ。姿を隠して、と言いつつドアを開ける。

すると.....絵空が居た。

俺は凍りつく。


「やっほー。彼くん」


「.....え、絵空。何をしに来たんだ.....もう深夜だけど.....」


「それは勿論。明日休みだし彼くんと一緒に過ごしたいから」


「.....そ、そうなのか.....それは結構。ありがとう.....」


「.....?.....どうしたの?」


本格的にマズイ。

裸の女子が居るのにこれはマズイ。

見られたら。


何が起こるか分からない.....どうしたら良い。

思いながら居ると、クチュン!、と大きなくしゃみが聞こえた。

可愛らしいくしゃみだが.....。


「.....」


「.....彼くん?まさか浮気じゃないよね?」


「.....」


笑顔になった絵空。

ヤバい!このままでは収拾がつかない。

俺は考えてその場で土下座した。

それから犬を拾った経緯。


そしてその子が女子になった経緯などを説明してから。

俺はリラの居るドアを開ける。


「.....うわ.....本当に女の子じゃない!」


「.....こんな事になるとは思ってなかった。.....すまん」


「話さないのは良くないよ。菅生くん。.....でも仕方がないよねぇ」


と、取り敢えず心広くてまあ助かった。

思いながらホッとしながら俺は見ていると。

あ。待って。この部屋の服でコーディネートするから、と服を着せ替えたりするから、と絵空にそのままぽいっという感じで追い出された。

え!?いやその。

俺の部屋なんだけど.....。

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