俺の目的は復讐だ。お前達の様な可愛い子や美少女は他の奴と恋バナ咲かせてくれ!

@kana_01

第1話 プロローグ

新作始まりました。


最後に大切なお願いが有ります。

宜しくお願いします。


―――――


 俺、坂口悠(さかぐちはるか)。名前は女の子っぽいが男だ。

今日も部屋の鍵を閉めて学校に向かう。電車に乗る駅まで五分、学校まで二駅、それから十分程歩いて学校に着く。


 俺が通うのは市立桂川高校。実家から通えない事も無いが事情が有って一人暮らしをしている。

 ちなみに桂川と言っても京都の有名な川とは縁もゆかりもないそうだ。どうしてつけたのかは、入学式の時校長が言っていたらしいが、忘れた。



 下駄箱で上履きに履き替えて教室に入ると直ぐに自分の席に座る、窓際の一番後ろの席だ。

 スクールバッグから本を取出して担任が来るまで一人で本を読む。それが俺の朝の日課だ。


 誰も俺に声を掛けてくる奴はいない…いや一人いる。そいつは俺が教室に入って来た事が分かると近寄って来た。



 中学時代から知り合いの友坂絵里(ともさかえり)だ。艶やかに腰まで長く伸びた髪、目は切れ長で大きく、鼻はすっと高く通っている。

 口は薄くそれらのパーツの美しさを引き出すような顔の輪郭。誰が見ても美人という奴だ。



「悠、おはよう」

「ああ」

 俺は、本から目を離し、相手の顔をジッと見てそれだけ言うとまた目を本に戻した。


 友坂もそれだけ言うと自席に帰って行った。彼女が席に戻ると隣の子が何か話しかけているが、俺は聞こえない振りをする。言われている事は分かる。なんで俺なんかに声を掛けているかだ。



 午前中の授業が終わり、俺は学食に向かう。購買もあるが、一人暮らしはどうしても食事が偏る。だから昼食は学食でボリュームのある定食を食べる事にしている。


 前から来る奴がいるが、俺を避けて通る。まあ相当に俺は目付きが悪いのが分かっているからな。

 高校に入って最初の頃は、俺に眼(がん)を飛ばしてくる奴もいたが、睨み返すとスッと横に退いた。



 学食で一人で定食を食べていると、隅の方で五月蠅い奴らがいる。チラッとそちらを見ると一人知っている奴がいた。


 北沢芳美(きたざわよしみ)だ。この学校に入って直ぐに上級生と喧嘩して一週間の停学になった奴。そして俺が小学校から知っている親友でもある。



 俺と芳美は小学校時代から一緒に町の同じ武道場に通っている。お互い負けず嫌いで、稽古試合では勝負はつかなく、お互いが素手で殴り合い、蹴りを入れ、投げ飛ばし、途中で師範代に怒られて終わる程仲が良い。


 芳美は小学校時代からの悪(ワル)だが大の仲良し。あいつは俺を悪の世界には引き込まないおかげで警察には縁がない。



 中学時代、勉強がさっぱりだった芳美が俺と同じ高校に入りたいと泣きついて来た。お前の頭では無理だと言ったが、どうしてもと言うので、やり方は厳しいぞ、途中挫折したらそこで終わりだと言って始めたが、あいつは食いついて来た。

仕方なく俺はあいつの無い頭に必死に知識を突っ込んで合格させた。


 変なとこに気が利くあいつは、高校に入ったら人前ではお互い話すのは止めようという事を言って来た。


 何故だと聞いたら、芳美曰く自分みたいな男と知り合いだと分かったら俺が困るからだと言っていた。


そんな事中学時代も同じだろうと言ってやったが、一度言ったら聞かない奴でその通りになってしまった。




「悠、今日も一人で食べているの?」

友坂が声を掛けて来た。


「別に俺の勝手だ」


「ふん、そうやって一生一人でいなさいよ。どうしてもというなら私が拾ってあげるわ」

「失せろ、ばか友」

「その言い方は止めてって言っているでしょう」

「高校に入ったら中学時代の約束はチャラだ」

「じゃあ、高校も同じにしてね。マッド悠」

「ふん、お前もその言い方止めろ」

「ふふっ、じゃあねー」


 友坂は別に頭が悪い訳じゃない。一学年全体でも常に上位にいる。ばか友は中学時代に揶揄って付けたあだ名がそのまま残っている。


 マッド悠も同じだ。中学時代、目付きが悪いからと喧嘩を売って来た奴らを片端から叩きのめした結果だ。これは友坂が付けたあだ名だ。


 両方のあだ名は俺と友坂の二人の間でしか使っていない。



 友坂はそのまま立ち去ったが、あいつの側に居る取巻きが

「ねえ、なんであんな奴に声掛けるの?教室じゃ陰気くさいし、目付き悪いし」

「別にいいじゃない。貴方には関係ない事よ」

「…………」



 授業が終わり放課後になると図書室に行く。直ぐにここに来るのは部屋に戻りたくないからだ。そして隅の方で本を読み始めた。




 私は、高橋友恵(たかはしともえ)。地味な名前でしょ。この市立桂川高校の一年生。今、図書室の受付に座っている図書委員。


 今日も常連さん、本を読むか勉強するか寝ている人達がいて、偶に本を借りに来る人返す人がいる位。だけど私はこの平穏が好き。

 


 私は本が好き。図書室はそんな私の知識欲求を満たしてくれる場所。この私の大切な場所に夏休み終わってから変な子が来るようになった。


 その子は、窓際の外が見える場所に座るとスクールバッグから本を取出し読み始める。時々外を見ては悲しそうな顔をしてその後とても怖い顔をする。


 この前、書棚を整理する振りをして彼の後ろを通って読んでいる本を盗み見た。文章は英語の様だけど私には分からない数式や図も書かれていた。

本当に読んでいるのかと思う位。高校生では学ぶこともないような本だった。



 彼は毎日同じ時間に図書室に来て同じ場所に座り同じ時間に帰る。名前も知らない人。髪の毛は短く濃い緑がかった黒髪。目は切れ長で大きいけど研ぎ澄まされたように冷たく前を見る。身長は百五十八センチの私から見ると随分大きく見える。


 そんな彼に少し興味を持ってしまった私は、十月中旬に声を掛けて見た。


「君、名前は何ていうの?私は高橋友恵。図書委員やっている」

 彼は本から目を離し、顔をこちらに向けるをジッと私の顔を見た。


「……坂口悠(さかぐちはるか)」

 そして、また目を本に向けた。


 悠(はるか)女の子の様な名前だけど?



 今日も坂口君は来ている。いつの間にか気になる様になってしまった私は、予鈴が鳴り常連さんが帰りだした所で彼に声を掛けた。


「坂口君」

 彼は冷たい目で私をジッと見ると


「何?」

「ちょっと話できないかな?」

「…良いけど」

「じゃあ、ちょっと待っていて」


 私は、今日返却された本を書棚に戻してPCの図書管理システムの終了処理をすると受付の横に置いてあった自分のスクールバッグを手に持って


「図書室の鍵閉めたら職員室に鍵を返してくるから下駄箱でちょっと待っていてくれない?」

「君を待つ理由はない。帰るよ」

「お願い。直ぐに返してくるから」


 何だこいつ。馴れ馴れしく声を掛けて来たと思ったら俺に下駄箱で待っていろって。まあ、急いで帰る理由も無い。


 彼女が、急いで下駄箱に戻って来た。

「お待たせ。帰ろうか」

「…………」



「いきなり声を掛けて引き留めてごめん」

「俺に何か用があるのか?」

「坂口君って一年生だよね。私も一年生なんだ。でも半年も経っているのに図書室で見かけるのが初めてだったから。それにいつも難しい本を読んでいるよね。あれって何の本なの?」


 何だこいつ。俺の読んでいる本を盗み見ていたのか。分かる訳も無いだろうけど面白くも無いな。

「超弦理論(ちょうげんりろん)だよ」


 私は、初めて聞くその本の名前に頭の中がクエスチョンマークで一杯になった。超弦理論ってなに?


「あの、それって…」

「君が気にする事は無いさ。俺の興味範囲で読んでいるだけだ」

「…………」


 説明してくれる気はなさそうだけど、説明されても分かりそうにないから良いか。でもせっかくだからって話しかけてもあまり乗り気でない受け答えばかり。


 仕方なくこの日はそのまま、二人であまり会話もしないで駅まで行った。彼は私とは逆方向の電車に乗って行った。



―――――


 プロローグではまだ物語の輪郭がぼやッとしていますけど、後日話をお楽しみに。


お願いが有ります。

本来は読者様のご評価によって付けられる星★ですが、書き始めは星★が少ないと投稿意欲が消えそうになります。ぜひご協力お願いします。


感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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