第27話 対立の2人、罠

1匹のスライムを乗り越えどんどん進んでいく3人だったが、少しの問題に直面していた。


「絶対こっちだよ!こっちからクリアの匂いがするの!」

「いや絶対真っ直ぐです!」


そう…分かれ道に入り、どちらに進むか王子とメイが揉めているのだ。

王子は出現した右への道、メイはそのまま真っ直ぐに行くと言っている。

お互い強い言葉を用い、一切譲ろうとしない。


「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて」

「わんは黙ってて!」


王子はなんと言うか…我が強いのは知ってたけどメイもそれに張り合うのは意外だった。

そんな印象全く無かったのにな…


「そっちはヤバいって!こっちにしよ!」

「わざわざ一つだけ右に道あるって言うのが怪しいです!」


うーん…このままだと一生決着がつかない気がする。

……仕方ない。ここは俺が人肌脱ぎますか。


「一旦落ち着こ?言い合っても何も解決しないよ」

「そんな言うんだったらわんが決めてよ!」

「そうですよ!3人いるんだしその利点を使っていきましょ」


え?いきなり?さっきそんな感じじゃ無かったじゃん。


「じ…じゃあ右…かな…」

「だよね!」

「あぁ……」


王子は勝ち誇ったかのような顔をしているがメイはどうだろうか……


「わんさんが言うなら!右にしましょ!!」


全然怒ってはいなかった。むしろ笑顔でにこやかにしている。

これは俺の顔に免じて許してくれたのか?

それとも内なる怒りを心に溜め込んで放出のタイミングを計っているのか?

どちらにせよ一旦は収まったから良いか。


俺たちは右へ進んだ。


しばらく真っ直ぐ歩いた頃、今度は左手の壁に謎の紋様が見えた。

目立つように赤色で複雑な曲線が混じりあったような紋様である。


この紋様…どっかで見たような……


「なんでしょうねこれ」


メイはその紋様に手を伸ばした。


…そうだ!その紋様は……!


「魔法陣だ!メイ危ない!!」

「え?」


メイの手が紋様に触れた途端メイの上方から槍が数本伸びてきた。


「ア……ガッ……」


体の所かしこに突き刺さり血が吹き出す。

手や足も槍によって動かすことができない。

メイの目が白目に覆われていく。

眼鏡も勿論割れて地面に転がっている。

唯一直撃を避けた頭部も次第に力が抜けだらんとなった。


「きゃあああ!!」

「メイ!!」


俺たちが駆け寄った時にはもう遅かった。

完全にもう意識がない。

いくら呼びかけようとも返事は帰ってこなかった。

メイに突き刺さった槍が天井に戻っていき、すぐメイに触れたが既に体は血で染ってしまっている。


「おいおい…マジかよ……」


俺の動揺はメイの体が消滅するまで止まなかった。


--続く

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