第9話 無理難題、なのか?

ショウ、クラウン、はぁと、お嬢の4人と行動を共にすることになった俺は、石50個の採掘を終えテツジのいる武器屋へ帰ってきていた。


石を取っている最中も、そして今もずっとこの4人は俺のことをじっと眺めている。

やはり審査を受けるって言ったのは失敗だったかもしれない。

とても気が散る。

でもあの時はあぁするしか無かったし…


そんなことを考えていると、テツジが取ってきた石と元々持っていた木の棒数本と引き換えに完成した武器を持ってきてくれた。


「完成したしたぞぉ!今回はこの"普通の石の剣"だよぉ」


テツジに手渡された"普通の石の剣"は本当に見た目も普通の石の剣といった感じで持つと少し重量を感じられる。

その姿に俺は少しだけどワクワクした。

これから俺はもっともっと強くなっていくんだ。

胸の高鳴りが手を当てずともわかった。


「ふーんかっこいいじゃん」


後ろを振り向くと、さっきまで数歩離れていたクラウンがすぐ俺の目の前までやって来ていた。


「でも僕のには敵わないけどね〜」


クラウン。

ショウ曰く彼はかなりの"武器マニア"らしい。

獲得した素材やGはほとんど武器に費やしているという。

普段はおっとりとしていて面倒くさがりだが武器の事となると態度が一変しオタクになる。

そんなクラウンを俺は無視し、武器屋を後にした。


後ろのショウ一行も俺に数歩離れてずっと着いてくる。

まじで面倒臭いしだるい…

もうさっさとクリアしちゃおうか。

ショウの言う"審査"とやらを。


-数十分前(ショウたちと出会って数分後)


俺は石を採掘している最中、ずっと付きまとってくるショウ達に嫌気が差し遂に質問した。


「さっきから気になってるんだが"審査"って何をしたら良いんだ?」


ショウはあ!っとした顔で目を大きく開けた。


「ごめんごめん!忘れてたね。審査っていうのはね…俺たち4人が出したお題を達成して欲しいんだ」

「お題って?」

「ん〜後で落ち着いたタイミングで出そうと思ってたんだけど…気になるんだったら今言うね」


ショウは息を大きく吸いニコッと笑った。


「俺のお題は"トレーニング"で80点を取ること」


次にクラウンが手持ちの剣を撫でながら言った。


「僕のお題はね〜全身の防具を作ること」


それに続いてはぁとも俺に近づいて言った。


「私のお題はなぁ実績"スライム格闘家"を解除することだ!」


最後にお嬢も続いた。


「わたくしのお題はわたくしと2人で採集クエストをクリアすることですわ」


お嬢が言い終えた後、ショウが両手を広げニヤリと口角を上げた。


「これらを全て3日以内にやって欲しい。それが出来たら次の街…"イクシード"への行き方を教えてやる」


…そんなもんか……思ったより楽勝だな。

ちょくちょく知らないワードが出てきたがそれはその都度聞けば良いだろう。

悪いなショウ、クラウン、はぁと、お嬢。

短い付き合いになりそうだ。

俺はもう次の街へのワクワクからニヤケが止まらなかった。


-現在


俺は武器屋を出た後また酒場へやって来た。

狙いはもちろんお嬢のお題、2人で採集クエストをクリアすること。

それが4つの中で1番簡単そうに見えたからだ。

俺は両手で頬を叩いて気合を入れた。


「さ!やりますか!」


--続く

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