遭遇

雲母あお

深夜の散歩で起きた出来事

「今日は、173歩!?」

スマホアプリを見た。

歩こうかな。

もうすぐ深夜0時。

夜中だけど、お化粧しなくてもいいし、よし!行こう!

動きやすい格好に着替えて、深夜の散歩に出発した。


休みだからって、1日何もしないで部屋でゴロゴロしてしまった。

運動不足が気になっていたから、まずは1日5000歩を目標にしていたのに……


風があって、少し肌寒い。

いつもの散歩道、街灯が灯っているはずが、街灯から灯りが消えて真っ暗になっていた。

「0時になると。街灯消えちゃうのか。」

持ってきた懐中電灯で足元を照らす。


散歩道を歩いていると、不意に、

ガサゴソ カサカサ カチャカチャ

前方から、近づいてくる奇妙な音が聞こえた。

「何?この音?」

今まで聞いたことない音がする。周りには誰もいない。何もない。でも確かにその音は、私の方に近づいてきている。

「やだ、何?」

怖さのあまり、知っている音に変換して安心したい、という気持ちに駆られた。

「風で飛ばされたレジ袋が、アスファルトを転がっている音?紙袋かな?うん、そうだ!次の角曲がってもう帰ろう。」

一本道の散歩道がもうすぐ切れる。あと少しでこの道から離れられる。その間も、その不気味な音は、影もなくどんどん私に近づいてくる。もう私のすぐ目の前に!

「え?カニ!?」

色はグレーでアスファルトの色とよく似た、体長10cmほどのカニ。


ガサゴソ カチャカチャ

カニは、道路で初めて聞く音を立てながら、ここにいるのがさも当たり前のように、横歩きでいってしまった。

まさかのご近所さん!?


「深夜の散歩で起きた出来事」それは、『カニ』との遭遇だった!


慌ててスマホで調べる。

「『道路 カニ』検索っと。ええ!?このカニ!」

検索結果には、私がたった今見たばかりのカニが映し出されていた。

なんと、見かけるのはレアのようだが、私の他にも遭遇している人がいた!


カニって、街に住んでいるの??

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遭遇 雲母あお @unmoao

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