第3話 私とアルバナーク婆様が視たもの
私は、ミレイア・ミレスタ。エクセン王国のレドリー王子に
しかし、レドリー王子と彼の新恋人ジェニファーによって、聖女の役職をやめさせられてしまった。
(友達のいるシャルロ王国に行こう。そこで別の学校に編入しよう)
私はエクセン王国の中央都市、リドラードから出て、旅立とうとしていた。
「待ちなさい!」
後ろから声がした。
私が振り向くと、そこには年老いた女性が立っていた。
「アルバナーク婆様!」
私の最も尊敬するアルバナーク
心配して、私を追いかけてきてくれたのか……。
「どうしても行くのかね?」
アルバナーク
「はい、レドリー王子に
「
アルバナーク
「すでに感じるじゃろう? この空気。結界の魔力が弱まっている。お前さんの張った結界の魔力が、弱くなってきておる」
「噂ではジェニファーが、エクセン兵士の軍隊指揮官に任命されるようです。魔物の
「そうだったな。ジェニファーは彼女なりに精一杯やるだろうさ……彼女なりに」
私たちは苦笑いした。
ゴゴゴ……。地響きがした。
「何か来そうだね」
アルバナーク
「とてつもなく恐ろしい存在が」
「恐ろしい存在?」
「未来予知をしてごらん」
私はアルバナーク
「ああっ!」
私は声を上げた。
頭の中に、何か恐ろしい存在が浮かび上がった。
「な、なんなんでしょう? 『これ』は」
「
「は、はい」
私が
それは石のような彫像のような存在だった。そして城のような巨大さ。女性の形をした美しい彫像のようなものだった。
(浮かんでいる……!)
その彫像のような巨大な存在が、エクセン王国の空に浮かんでいる未来が
その素晴らしい芸術家が彫り上げたような巨大な彫像は、まさしく美しい石の美女。しかしながら、脇にも腕が生えており、全部で腕が4本あった。
そして、その存在の背中には黒色の翼が生えていた。
「な、何なんでしょう? この……存在は」
魔物でもない。魔王でもない。魔女でも、怪物でもない。
見たことのない、怖ろしい存在。
「……伝説の、
「
聞いたことがある! 古代、神代の時代、神の使いの天使たちから、悪の道に
「そ、その
「……分からん」
「その
「うーむ……」
アルバナーク
「……本当に旅立つのかね? 聖女よ」
「聖女はもうやめましたのよ」
私はさみしく言った。
「だから、もう自由にさせていただきます。私は友人を探しに行こうと思います」
ピクリとアルバナーク
「……前に話していた、フレデリカという少女か?」
「はい」
アルバナーク
「学校はどうする? お前は元聖女だが、学びの最中だ」
「シャルロにも勇者・聖女養成学校があります。そこに編入するつもりです。この際ですから、一から学び直します」
「良い心がけだ。いつでも帰っておいで」
アルバナーク
◇ ◇ ◇
私は街外れにある、
街から街にひとっ飛び。
私は友人のフレデリカを探しに、シャルロ王国というエクセン王国の
もちろん、シャルロの学校に編入するのも目的だ。
「シャルロ王国まで。1名なんだけど」
私は、
「あ~、ダメダメ。今、飛ぶことができないんだよ」
係員は困った顔をして、
猿のような巨大な魔物が、飛行場をウロウロしている。
私以外にもお客がいる。皆、飛行場から離れた場所に避難し、困った様子だ。
あの魔物は……ポイズンモンキーか……。全長3メートルの体格を持ち、爪に毒を持った魔物だ!
私が結界を張らずにいる影響が出ているのだ。
「ポイズンモンキーが、飛行場でウロウロしているから、危なっかしくて
係員はブツブツ言った。
「魔物の侵入を防ぐ、結界はどうなっちゃったんだろうなあ。聖女様は、今日は休みなのか?」
係員はため息をついた。私が元聖女だとは、当然気付いていない様子だ。
(結界は……もうなくなりました。私が、聖女をやめたからです)
私は心の中で、係員に謝った。
「あらぁ? 見たようなマヌケ
聞き覚えのある嫌な声が、私の後ろで聞こえた。
後ろから歩いてきたのは、レドリーの新恋人、ジェニファーだ。ジェニファーは後ろに、3人の兵士を従えている。
「ジェニファー! まさか、あのポイズンモンキーと戦うの?」
私は聞いた。
「ええ、そうよ! 私の指示で動いてくれる、エクセン兵士たちの力を試すわ!」
ジェニファーは胸を張った。兵士たちは、顔を真っ赤にしてジェニファーに敬礼している。
エクセン兵士たちは、美人のジェニファーに、メロメロだった。
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