深夜の散歩で起きた出来事

影神

光の玉



仕事終わり。


俺は帰って倒れる様に眠る。



夜勤の仕事は給料も良いし。


それに。


昼間と違って、楽だ。



だが。


年々。身体が追い付かなくなって来た様で。


明けの日に、そのまま遊びに行ったりは出来なくなった。



「もぅ、、歳か。」



目を開ければ、外はもう夜だった。



「はぁ、、」


別に何か用事がある訳では無かったが、

 

せっかくの休みに。寝ているだけ、


と言うのは少々勿体無く感じた。



ぐぅう、、


腹の虫は、何かを食わせろと言わんばかりに。


大きな音でアピールした。



「はいはい。」


時刻は日を跨いでいた。



ファミレスも考えたが。


風呂も入ってないし。


着替えるのもダルかった。



俺はサンダルを履き。


外へ出た。



「たまには、、


悪くない。」



真っ暗な夜道。


この時間は、いつも見回りをしている頃だ。



「ふわぁあ、、」


背伸びをしながら歩く。



「らっしゃいやせぇ、、」


店に入るが。目ぼしい商品は、無かった。


レジに置いてあった大福だけを買い。


店を後にした。



「時間が時間だったからなぁ、、



まあ。少し歩くか。」



散歩は嫌いじゃない。


夜の匂いも。


清んだ空気も。


静かな世界も。



全て好きなものだらけだった。



川沿いを歩いていると、


目の前に光の玉があった。


「何だあれっ、」


気になって追い掛けると。


そこには、街灯に照らされた小さなお地蔵さんがあった。



俺はさっき買った大福を供えた。



次のコンビニは丁度商品を棚に入れていて。


沢山の食べ物があった。



「これも、お地蔵さんのおかげかな。」



それからは、たまにお地蔵さんに会いに行く様になった。



ある日。そこにおばあさんが居た。



おばあさん「これ、あなたが??」


手には俺が供えた大福があった。


おばあさん「今時。珍しいわね、」



俺は、あの夜の出来事を話した。



話によると、


昔。


この川が氾濫した時の、供養の為のお地蔵さんだった。



おばあさん「きっと、お地蔵様も。


春の香りに誘われて。


月夜を、お散歩したくなったのねぇ、、」
















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深夜の散歩で起きた出来事 影神 @kagegami

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