第5話
祖父の深夜徘徊は毎晩のように続いた。祖父はみんなが寝静まったころ、寝巻一枚で履物すら履かず裸足で雪を掻き分け歩いていた。祖父の手足は栄養不足で神経を病み、冷えに苦しむことは無かった。しかし雄三にとっては身を切るような雪の冷たさ、肺が凍りそうな夜の外気は苦痛以外の何物でもなかった。祖父はいつも何かを探し続けていた。雄三は必ず何かを探す祖父を雪の中で探し出し、連れ戻していた。夜は遅くまで、朝は早くから忙しい父母を煩わせてたくはない、小さな弟妹にはゆっくり眠って欲しい。雄三は一人でこの状況に対処した。大丈夫、春になって滋養あるものを食べれば祖父はきっと元に戻ってくれる。そう信じて雄三は夜の苦行に耐えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます