探索の彷徨
Bamse_TKE
第1話
「またお散歩かね、雄三さん。」
でっぷりと肥え太った体を揺らしながら青年介護士が微笑んだ。暗い廊下のなか雄三と呼ばれた老人は声がするほうへ振り向いた。そして先ほどの巨体介護士を見るとふう、とため息をつきながら首を横に振った。
「さあ、夜の廊下は冷えますよ。温かい布団に戻りましょう。」
さきほどの介護士は優しく諭しているつもりでも、この図体を見て威圧感を感じない人間はおるまい。雄三は下を向いて呟いた。
「探さねばならねぇ。」
ぶつぶつと呟きながら雄三は介護士に手を引かれ、自室へと戻っていった。深夜ながらも徘徊老人にうまく対応でき、自分のケア技術向上ににんまりしている介護士に連れられて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます