美女が惚れるエロ侍
かたりべダンロー
第1話 美しき王女が召喚したもの
私のその男の第一印象は、スケベで、変態で、最低な男、というものであった。その男は最初から他の男とは違っていたのだ。
そして、今、私の彼に対する想いは、最初のものとは違っている。何故、こんなに彼に対して、好意を抱いてしまったのだろう・・・・。
「申し上げます!ただ今、国境付近にて、前線のドンウ国騎士団、隣国のメラーン国軍に大敗しました。」
ドンウ国王城、会議の間にて、軍議の最中に、衛兵は火急の知らせを報告する。私は隣にいる父である、ドンウ国国王並びに、国の政治を取り仕切る代表者達とそれを聞く。
「何故、我が軍の最強の騎士団を用いても、隣国の進撃を止められぬのか?」
我が父、ドンウ国王は報告をした衛兵に問い詰めた。
「新しく戦争に加わった敵軍の大将ムークは、魔法使いで、強力な遠距離攻撃を仕掛けてきます。しかも、大勢の魔物達を呼び寄せ、我が軍は近寄る事さえ出来ず、太刀打ち出来ません!」
衛兵は傷付いた身体を何とか奮い立たせながら、報告を続ける。
ドンウ国王は困った顔で私を見つめ、意見を求めてくる。
「王女エリールよ。魔法使いでもあるそなたの意見を聞きたい。どうしたらその魔法使いを退けられるのか?
教えて欲しい」
「正直、我がドンウ国は魔法発展途上国。その隣国の魔法使いの出現は、我が国にとって脅威です。さすれば、我らも強力な魔法使いを助っ人として、連れて来なければ、勝ち目はないでしょう」
「姫よ、その助っ人の魔法使いの当てはあるのか?」
「一つだけ・・・厳しいですが、方法があります。ここにある魔石の力と私の魔力で、強力な助っ人の魔法使いを召喚するのです」
「出来るのか?」
「やってみないと分かりません。初めての試みですし、魔石は一つのみ。チャンスは一度きりです」
「確かに厳しい・・・。だが、その方法しかないのだな。分かった。姫よ、早速、その準備に取り掛かってくれ」
私は足早に会議の間を後にし、魔法修練所に向かう。
私に国の命運を託された、そんな気持ちになる。責任重大だ、失敗は許されない、そんな事を考えながら、目的地へと廊下を急いで歩いて行く。
普段、私が魔法の技術を上げる為に使っている、少し広めの石畳の部屋に着く。ここが私が魔法修練所と呼んでいる部屋だ。
私は早速、本棚から召喚に関する魔法の書を引っ張り出し、そこに書いてあるとおりの魔法陣を石畳に描く。
召喚の儀式の準備を次々と行っていく。後は召喚の呪文を唱える課程だけとなる。本に書かれた長い呪文を私は唱えていく。
「我がエリール=ドンウの命に従い、出でよ!至高の魔法使いよ!」
私が最後の呪文を唱えると、魔法陣は眩い光を放ち、辺りが真っ白な光に包まれる。
眩しい、私はあまりの光の強さに、手で顔を覆い、まぶたを閉じる。ドーンという轟音が辺りに鳴り響く。
私は強い光の為に、まともに目が開けられなかったので、薄目で魔法陣の辺りを確認する。部屋は煙りの様なものが充満し、視界が悪く何も見えない。
成功したの?と私は不安になり、必死で状況を確認しようとする。しばらくすると煙りの様なものが段々薄れていき、魔法陣の中心から人影の様なものが見えてくる。
魔法陣の中に誰かがいる、私はそう確信し、視界がまだ良くなっていない中、魔法陣にいるであろうと思われる人影に話し掛ける。
「私はドンウ国王女、エリール=ドンウである。そなたは何者で何と申す者だ?」
私は次第に良くなっていく視界の中心の人物に、目を凝らす。そして、その人物を確認し、驚愕する。
「拙者、家で飯を食うておったのに、はて?ここは一体どこでござるか?狸にでも化かされたでござるか?」
そこには私が今まで見たことがない男の姿があり、その男は口をクチャクチャし、何かを食べている様であった。
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