イケメンになり隊

氷夜 シンリ

     イケメンになり隊


 みんなはこんな言葉を言われたことがあるだろうか?


「可愛い」とよく僕は言われる。だが僕ももう高校1年生なのだ、その言葉を言われて嬉しいとは思えなくなっているのだ。例えば「思春期の女子にかっこいいね!」と言ったら嫌な顔をするだろう?それと同じだ。みんなもこれで分かりやすいだろう。


そして、同じクラスメイトに言われた言葉で「お姉ちゃんがいる顔をしているね」と言われたのである。確かに姉はいるのだが、本当にそんな顔をしているのだろうか?謎に思うことがある。


僕は、誰にもかっこいいやらイケメンだねと言われたこともない…なので僕はイケメンになり隊の副隊長として活動している。


で?その隊の人数が気になる?実は隊員はこの僕、剣崎 蒼汰のただ一人である。

なんで1人なのに副隊長なのを謎に思う人もいるので、説明をすると隊長はコミュ障である僕には適性がないし、設立者としてこの立場なのである。


そしてイケメンになるには?と検索してみたら項目があったから試してみようと思う。


1.スキンケアを欠かさない。


僕は、毎日やっているし当てはまるな。


2.清潔感のある身だしなみを意識する


これは、いつも意識している。


3.臭いケア&いい香りをまとう。


これも大丈夫だろう。香水を少量だけつけているからくさいなんてことも起きないと思う。


 などの質問があり、そのすべての項目に当てはまったのである。努力をしているのにかっこいい何って言われたことがない。なぜだ…


 僕は一応女子と付き合ったことがある。告白されて僕はどうやら押しに弱いようで、断ることができなかったんだ。その時にも、「可愛いから。甘えに来て」と言われたのである。それが嫌で結局彼女とは別れてしまったんだ。


そして、僕はイケメンになり隊と思った。誰か一人でも僕のことをかっこいいと言ってしまえば目標は達成なのである。


 みんなは、この目標が簡単だと思ってない?これが実は難しくてね、家族や友達にかっこいいかイケメンか一度でも言ってほしいといったんだ。だけどみんなは、「かっこいいんじゃなくて、可愛いよ」と言われるのだ。


いつしかこの目標は、高いハードルになってしまった。


誰でもいいから言ってほしいが、僕は人見知りなので知らない人には聞くこともできずに月日は流れてしまう。


そして、大人になった僕は彼女ができていた。その彼女には、可愛いといわないでほしい。そう思ったとしても心の中でとどめておいてほしいといったのである。


すると彼女は、

「いいよ。蒼君が嫌ならね」


 と了承の返事をもらえたのである。


 僕に嫌なことをしない彼女に、僕は徐々に心を開きあの頃の目標をかなえるために聞いてみた。


「僕は。かっこいい?」


いつか叶うと諦めていた目標の言葉を言う。


「ええ。そうねかっこいいわね」


 笑顔でそう言ってもらうことができ、無事目標を達成した僕はイケメンになり隊をやめることができた。



 終わり








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イケメンになり隊 氷夜 シンリ @8loom

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ