『お姉ちゃんと美咲さん』
そして文化祭四日目。今日はお姉ちゃんと回っている。お姉ちゃんはなんだかとても楽しそうだった。昨日のあの人に絡まれたら昨日真美ちゃんがしたみたいに私がお姉ちゃんを庇わなきゃ!と思っていたが――、
「今日は大丈夫よ。私、そんなにやわな女じゃないから。菜乃花も安心して楽しんできて」
と言って、ニッコリと微笑まれた。お姉ちゃんの微笑みは安心感がある。私なんかよりよっぽど強いからな、お姉ちゃん。
「それで?真白ちゃんと……奏ちゃんだっけ?菜乃花のことが好きな女の子達の元にいきましょうか」
「うんっ!」
そして私達は、真白先輩達のところに行くことにした。真白先輩達の出し物は『メイド喫茶と執事喫茶』である。そして今日のメインは――
「奏先輩の執事服と真白先輩のメイド服よー!素敵ーー!」
そんな声が聞こえてくる。まぁ、うん。確かに真白先輩と奏先輩はかっこいいしね。
そして、私達が行くと、クラスの人に席に案内される。私はメニューを見て、お姉ちゃんはメイドさん(女生徒)に注文をする。
「このオムライスとケーキを二つ、あと紅茶はダージリンでお願いします」
「かしこまりました」
オムライス……私の文化祭昨日以外ほとんどオムライス食べてる気がする……まぁ、別にいいんだけど。
「あの二人、女子人気高いわねー。本当いい女捕まえたわね?菜乃花」
「あはは……」
何と言えばいいのか分からず苦笑いで返す私。
「菜乃花……お姉ちゃんが彼氏を連れてきたら、どう思う?」
「え?急にどうしたの……美咲さんは……?美咲さんといい感じじゃない」
「美咲?美咲はただの友達よ」
不機嫌そうに、お姉ちゃんはそう言った。……え?お姉ちゃん……美咲さんと喧嘩でもしたんだろうか?――そして、オムライスとケーキを美味しく頂いていると、
「菜乃花先輩に華恋さん〜〜!」
不意に、真美ちゃんの声が聞こえてきた。そして、真美ちゃんの後ろから、
――美咲さんが姿を現したのだった。
私は驚いて目を見開いた。お姉ちゃんは……とても嫌そうな顔をしている。やっぱり喧嘩を……?
「美咲……あなた、何しに来たの?」
「何しにって……妹……真美の様子見に来ただけだけど?」
「そう……」
お姉ちゃんは、やっぱり不機嫌そうにそう言った。美咲さんとはいうと、
「場所を変えましょう。華恋」
美咲さんが真剣そうな声色で、お姉ちゃんにそう言った。それに対し、お姉ちゃんは、
「ええ。いいわ」
と、答えた。
△▼△▼
――結局、あの二人が何を言いたいのか、私には分からなかった。ただ、
「全く!うちの姉は本当に!」
ぷりぷりと怒る真美ちゃんが、とても可愛いことだけは分かった。
「け、結局、あの二人何を喧嘩していたのかしら?」
「うちの姉が全部悪いんです!華恋さんは一切悪くありません!」
「そ、そう……」
真美ちゃんはそう言うが……美咲さんが悪いとは思えない。だって、お姉ちゃんもお姉ちゃんで暴走癖あるし。
「いや、私の姉も悪いところがあるかもしれないし……」
「いいえ!うちの姉が悪いです!」
「そ、そう?」
真美ちゃんがあまりにも必死に言うので、そう答えてしまった。
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