『真美ちゃんと占い』
「菜乃花先輩~~!かき氷食べませんか!?」
今日で文化祭は三日目だ。まだ後、二日も残っているが私の仕事はない。とゆうか、手伝おうとすると、『桜田さんは何もしなくていいから』と言われて何もさせてもらえなかったのだ。
何故か、怯えた目をしていた気がするのだが気のせいだろうか?まぁ。そう言われたので甘えることにして今は自由時間というわけなのだが……。
「菜乃花先輩~~!今日も思い切り遊びましょうよ!」
真美ちゃんは私の手を握り、そう言った。真美ちゃんはとても楽しそうだなと思った。
「あら。菜乃花」
不意にお姉ちゃんに声をかけられた。お姉ちゃんの方を見ると、いつもよりラフな格好をしているように見えた。
「華恋さん!初日以来ですね~」
「えぇ。そうね。……ねぇ、菜乃花はこれから何か予定ある?」
「え?真美ちゃんと一緒に文化祭を回ろうと思ってましたけど……」
私がそういうとお姉ちゃんは少しだけ困った顔をしていた。え?……もしかして
回りたかったの?お姉ちゃんが?私と?
「そっか……じゃあ仕方がないわね。じゃあ、今日は一人で回ることにするわ」
……お姉ちゃん?様子おかしくない――?と思っていると、急に手を引っ張られる感覚があった。
「菜乃花先輩!行きますよ!!」
真美ちゃんだった。何か拗ねてる――?拗ねている顔も可愛い――なんて言われたら怒られるかな?
「わ、分かったから!そんなに強く引っ張らないで!」
私は慌てて返事をすると、真美ちゃんは満足したのか、「はい♪」と言って笑みを浮かべていた。
△▼△▼
「ううーん!ここのかき氷美味しい~!」
真美ちゃんは目を輝かせながらそう言っていた。確かにこの学校のかき氷屋さんのシロップはかなり種類が豊富だし、味もいい。だから人気が出るのもよく分かる。
「うん。本当おいしいよね」
因みに私は、いちご味で真美ちゃんはブルーハワイ味である。
「菜乃花先輩、次はどこに行きたいですか?」
「うーん……特にないんだけど…」
「そこのお二人さん!占いやっていかないかい?」
突然声をかけられたのでそちらを見てみると、そこには一人の女性が立っていた。占い師のような服装をしており、頭には魔女っぽい帽子を被っていた。
「占いかぁ……菜乃花先輩、どうします?やってみますか?」
「うーんどうしようかな……」
正直あまり興味はなかったけれどせっかくなので占ってもらおうかなと思うことにした。
「あの……いくらなんでしょうか?」
「一回500円だよ」
結構高いなぁと思ったがここは我慢することにしてお金を渡した。そして席に座って待っていると水晶玉を持った女性が現れた。
その女性は椅子に座るとこちらを向いて微笑みながら、
「お二人さん。恋人同士なのかしら?」
と尋ねてきた。この占い師凄くニヤニヤして気持ち悪いなぁと思っていると、
「恋人ではないですよー。今は、ね?」
と真美ちゃんが答えてくれた。今は、恋人じゃない……ということは……そういうことなのだろう。
「ふぅーん。そうなんだ。なら、将来は結婚とか考えてる感じかしら?」
「はい!!もちろんです!」
ち、ちょっと!?真美ちゃん!?違うって言いずらい雰囲気だからここは押し切ろうとしてるのはわかるけどさ……。
「あらあら。それは素敵ね。じゃ、占いましょう。参考として、貴方達の誕生日を教えてくれると嬉しいのだけれどもいいかしら?」
「はい。えーと、菜乃花先輩が10月で私は7月です」
「ふーん。なるほどね。じゃあ、二人の相性を占っていくわよ」
水晶玉に手をかざすと、何やらブツブツと言い始めた。これは何を言っているのだろうか?全く分からない。
それから数秒後、手を離し、結果が出たようだ。
「結果が出たわ!7月生まれが、一方的に10月生まれに尽くしてしまう相性。10月生まれは、ちょっと鬱陶しいと思いがちです。でも、相手への愛が深いので見捨てることはありませんよ」
………いいのか悪いのか微妙なことを言われ、真美ちゃんは不満げな顔をしていた。私も少しだけ複雑だし……。
「後、仕事運もお互い自分のやり方に固執して、相手の提案を受け入れることができません。話し合っても平行線でしょう。一緒に仕事をするなら、バランスを取ってくれる仲裁役を入れるとスムーズに話が進みます。お互いに自分勝手過ぎて、周りが見えていないので注意してくださいね」
なんて占い師は笑顔でそう言った。
△▼△▼
「何あの占い!全然あたらなかったんですけど!」
真美ちゃんはご立腹のようで、頬を膨らませながら文句を言っていた。
「まあまあ、落ち着いて真美ちゃん。所詮占いなんだから……」
「む~。だって、私達の未来があんなのって嫌なんですよ。仕事はともかく、私達はもっとラブラブになるはずなのに……」
真美ちゃんはそう言って、私の腕にしがみついてきた。そんな様子を見ていると、本当に可愛いなと思ってしまう。でも、それは――、
「(……恋愛感情じゃないんだよなぁ)」
私は真美ちゃんのことを妹のように思っている。だからこそ、恋愛感情はないと断言できる。でも――、
「いや!やめて離して!」
不意にそんな声が聞こえてきた。そちらの方を見てみると、
「え?お姉ちゃん?」
そこにはお姉ちゃんの姿があった。
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