『鉢合わせてしまった……』
遊園地とは楽しく、わくわくするところである。そしてみんなで回れるものだと思っていた遊園地は――。
「菜乃花先輩と私で行くので奏先輩は真白先輩と行ってくださいよー」
「ふざけるなよ?真美。私だって菜乃花と回りたい。てゆうか、独占しようとするな」
「勝手にみんなと回れるものだと思ってたけど菜乃花ちゃんの争奪戦が始まる感じか……まぁ、そういうのもありだし好きよ?私は」
三人が火花を放ち、バチバチと音を鳴らす。…自分で言うのも恥ずかしいが、私を奪い合ってくるのは何度見ても慣れない。
「………なぁ、菜乃花、誰と回りたい?私だよな?」
奏さんが私の肩を掴みながら真剣な眼差しで聞いてくる。
「は?奏先輩、菜乃花先輩から離れて下さいよ!菜乃花先輩は私がいいですよね!」
「あら。菜乃花ちゃんは私よね?そうでしょう?」
真美ちゃんと真白先輩と奏先輩が私のことを取り合う。何度見ても意味不明だ。でも、そんなことが楽しいと思う自分がいる。こんなにも愛されていることに嬉しさを感じている。
「あら?真美?」
不意にそんな声が聞こえた。その方向を見るとそこには――。
「げっ……姉貴じゃん……最悪……」
「そんなこと言わないでよー。あ、菜乃花ちゃんもお久しぶりー」
そう言いながら真美ちゃんの姉――白鳥美咲さんが軽く手を挙げて挨拶してくる。美咲さんは気さくで話しやすく、とても優しい人なのだが……。
「今日は大学生になって初めての友達とのお出かけなのよー。あ、丁度……」
「ごめーん。美咲ー!遅れちゃった?」
………見覚えのある声が聞こえてきた。その方向に目を向けるとそこには――。
「お、お姉ちゃん!?」
「あれ?華恋さん……?」
真美ちゃんと私が揃って声を上げた。
△▼△▼
「いやー、まさかこんなところで鉢合わせするとはねぇ」
「本当にそうですね!まさか華恋さんと出会えるなんて!」
真美ちゃんは嬉しそうに話しながら、ニコニコと笑う。
「……それで菜乃花。この二人が例の……?」
お姉ちゃんはそう言いながら奏先輩と真白先輩の方に視線を向けていた。
「え……?ええっと……うん、そうだよ……」
ここで隠しても意味がないので素直に肯定した。するとお姉ちゃんは興味深そうに二人のことを眺めている。そして何か納得したような表情を浮かべた。
「へぇ。そう……この二人が……ふーん」
お姉ちゃんはそう言いながら二人の前へと来るとニッコリと笑いながら、
「初めまして。私、菜乃花の姉である桜田華恋です~。うちの妹がお世話になっております~!」
と自己紹介をした。それを聞いた二人は驚きながらも挨拶をする。
「こちらこそ初めまして。私の名前は雪村真白と申します。菜乃花さんとは仲良くして貰ってます」
「私は深川奏と言います。菜乃花とは仲良くさせてもらっています」
2人はそう笑顔でそう言った。
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