半身モラトリアム気持ちぇぇぇぇえ!

@miz-

半身モラトリアム気持ちぇぇぇぇえ!

 日曜日の午後3時。ぶつけようのない焦燥感にかられつつも、そんな状態で少しテンションが上がる。


 脳みそのほとんどが、全くの流動性を持たない物質で埋められている感覚。重たく、やや熱い。ただ、それに耐えながらどうするわけでもなく、もやもやした罪悪感とともに、とうとうこの時間まできた。起きてからの時間を取り返さなければならないと焦っているのだろうが、金属塊のように重く凝り固まった自分の脳みそでは、どうにも運動器官に命令を出すことができないらしい。


 この感覚はなんだか懐かしい。自分が幼い時によく感じたものだ。友達と遊ぶでもなく、親に制限時間を決められたゲームの残り時間があるはずもなく、これといって有意義なことをするわけでもなく。ゴロゴロしながらただ時間が過ぎるのを傍観していた、日曜日の午後3時。あの時はまだ、無駄にした時間をとり返そうと思えるほど、時間の浪費に慣れていなかった。だから、今振り返ってみると、あの焦燥感はそれなりに健全なものだったのだろう。


 ただ、中学後半から今の大学2年になるまでその感覚を久しく味わっていなかった。怠惰な自分に慣れてしまった。時間を無為に過ごすことにも、そんな怠惰な自分の状態にも焦ることができなくなってしまっていた。


 だから、このモラトリアムから片足を踏み出した今、再び若干の恐怖と焦燥感を感じることができた自分が少し嬉しかった。危機感を感じられるほど落ちぶれていなかったのだと、堕落した自分を何故か誉めてやれた。この感覚が、今の自分を打開する活力になるのではないかと、高揚しさえした。


 自分がうまくできていないことに対して、恐怖や焦燥感を感じるものの、それを感じている自分に対して高揚するもう一人の自分。カオスでぐちゃぐちゃの心理の中でも、最終的に自分を肯定できている。


 「半身モラトリアム気持ちぇぇぇぇえ!」


 そんな今日この頃。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

半身モラトリアム気持ちぇぇぇぇえ! @miz-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ