何でも液化チートが強すぎて、正当防衛と言う名の犯罪も無かったことに出来そうだ。
るるかチャンネル
第1話異世界転生したらやっぱチートスキルだよね
はぁ〜何でこんな展開になるんだよ。
俺は断じて悪く無い。
俺の足元にはドロドロでぐちゃぐちゃな少しピンク掛かった液体が広がっている。
このぐちゃぐちゃな液体の正体は貴族+その護衛になる。
何故こうなってしまったのか時間は遡ること俺の感覚では数時間前。
夜中、急にコンビニの肉まんが食べたくなって近くのコンビニに向かう途中・・・。突然女の人が助けを求めて来た。
『助けて下さい。ストーカーに追われてるんです』
突然助けを求められるもアワアワしてしまう俺。
そこにストーカーと思われる男が現れた。
『俺のソラちゃんに触るな!!』
ヤバい!!完全に目がいってる。しかも何でナイフ持ってんの。
『絶対許さない、絶対許さない。死ね!!』
はい。一言も喋ることなく、【ソラさん】って謎の女性に巻き込まれて刺され。無事死亡しました。
無事死亡って何だよな。
しかも、ソラさん大丈夫だったのかな?死に損だったら最悪だよな。
そんなことを考えていたら。
『おぃ』
なんだ!?
『起きろ』
痛っ!!
目を開けると、そこにはマッチョのおっさんが立っていた。
『いつまで寝てるんだ仕事の時間だろっ』
『仕事!?』
『何寝ぼけてんだ?ギルドの仕事に決まってるだろ』
『誕生日だからってアホみたいに酒飲んで頭おかしくなったのか?』
あっ!!何か知らない記憶が一気に流れ込んで来た!!
俺、18年前に転生してたみたい。
死んだ直後に何か言われて転生させてもらったみたいだけど、その辺の記憶は曖昧。そして何で18年も記憶が戻らなかったのかは分からない。
ただ、記憶と同時にスキルの使い方が分かった。
スキル: 何でも液化
神より注意:生物への利用も可能。大丈夫だとは思いますがチートスキルのリミッターとして対人に関しては相手に悪意がある場合のみ発動可能です。
シレッと神よりの注意があるんだが。
それにしても、チートスキルって書いてある。
18年間の記憶が戻ってきた。
俺は農家の次男に生まれて、そこまで生活に困ることなく15歳まで過ごし、農家は兄が継ぐので15歳で誰でもなれる冒険者になった。
冒険者には冒険者ギルドに所属出来て、ランクは土からスタート。
土→石→銅→銀→金→白金と上がっていく。
そしてこのランクだけど。銅になるまでは日雇いバイトと同じで冒険者ギルドに毎日向かって日雇いの仕事を探す。運が良いと複数日の仕事の時もあるが大抵は単発仕事。
給料はその日働いた分を、その日に受け取れるがギルドに1割手数料を取られる。
ギルドは仕事を受ける時点で依頼主からも手数料を取ってるので相当儲かってるみたい。
その代わり『石』までの冒険者はギルドの格安寮を利用出来る。
格安と言っても、日雇いでも安い仕事や最悪仕事の無い日もある。
そう考えると基本毎日働かないと生活は厳しい。
今回は既に3日間連続の仕事を受けていた。
このマッチョのおっさんはギルドの職員。実際はオッサン顔なだけで俺とほぼ年は変わらずに、たまに酒を一緒に飲みに行く仲なので起こしてくれたようだ。
どうやら俺は昨日の誕生日で酒を飲み過ぎて記憶を失って、その衝撃で過去の記憶が戻ったらしい。
そんな訳で過去の記憶は戻ったけれど、仕事に行かないわけには行かない。
今日は貴族の家の倉庫整理3日目。
基本的に貴族が雇ってる執事の指示にしたがって物を運ぶだけの簡単な仕事。しかも貴族様はプライドが高いので賃金も他の仕事より良い。
チートスキルを使えるようになったけど、まずはこの仕事をして生活費を稼がないとね。
そして最終日も言われるがままに倉庫整理を手伝って、もうすぐ仕事が終わるってタイミングで怒鳴り声が聞こえてきた。
耳を傾けて聞いてみると、何か倉庫の中にあったはずの物が無くなって貴族様が執事に激怒しているようだ。
執事は激怒されて、速攻で倉庫整理をしている俺の前に走ってきた。
一言目が
『お前が盗んだのか!?』
今回の倉庫整理は俺と貴族が直接雇ってる雑用係が何人か入れ替わりで来ていた。
何の心当たりもないので黙っていると、貴族と武装した護衛が来た。
そして、何を思ったか執事が俺を指差して。
『コイツが犯人です』
意味が分からないが、ここは反論しないとヤバい雰囲気だったので。
『俺は何も盗んでいません』
しっかりと否定した。
しかし突然護衛の男が一歩出てきて、思いっきり顔をぶん殴られた。
冒険者になって2年以上が経つが日雇いの仕事しかしてないので、初めて口の中が切れて血の味がした。
『俺はやって…。』
もう一発殴られた。
そして両手を縛られて、貴族の前まで引き摺られた。
『お前が盗んだのか?あれをどこに持っていたった』
意味が分からない。何故あの執事は俺が犯人なんて言ったんだ。意味が分からないがこのままじゃヤバい。
『俺はやってない』
『いつ何が無くなったか分からないが、俺に何か盗むタイミング何て無かった』
しかし貴族は俺を話しなど一切聞かず。
『とりあえず地下室に連れていけ』
『これから拷問してでも吐かせるぞ』
そして実際に地下室まで無理やり連れてこられ、目の前には明らかにヤバい器具が並べられている。
これは本格的にヤバい。高ランクの冒険者ならギルドが間に入ってくれるかもしれないが下っ端の俺なんて切り捨てられて終わりだ。
ここで頭の中にアナウンスがはいった。
『貴族』『護衛』『執事』の悪意がチートスキル発動可能レベルに達しました。どの変化も利用可能です。
すっかり今日手に入れたチートスキルを忘れていたが、どうやらこのチートスキルが対人で使えるレベルまで悪意レベルが溜まったようだ。
そりゃそうだよな。今にも殺されてもおかしくない状況で発動しないとか意味分からなんし。
そこでまだ使ったことが無いスキルを初めて試した。
まずは縛られてた縄に液化スキルを発動したところ、一瞬で縄が液化してバシャンと床に落ちた。
それに気づいた護衛が剣を抜いた状態で警戒した。
貴族は俺が手を前に出した時点で、手に縄がないことに気づいたみたいで、護衛に再度縛るように指示を出した。
もう、このまま縛られてやる筋合いはない。
近い付いてくる護衛の剣を液化させた。
どうやら純粋に液化させる能力らしく。金属は水銀のような状態で床に落ちた。
護衛は驚きながらも、今度は腰に付けたナイフを切り付けてきた。
貴族は縛れって指示したのに、斬りかかってくるとかヤバいだろ。
咄嗟に今度は護衛に向かってスキルを発動すると。
護衛の装備はそのままに、中身が液化した。
目の前には、護衛が液化したドロドロでぐちゃぐちゃな少しピンク掛かった液体が広がっている。
相当グロいはずだが、特に何も思わない。
貴族はイキナリの出来事に驚いて固まっている。
その固まっている貴族に近づき、今回俺が何も盗んでないこと。
さらに謝罪を要求した。これは当然の要求だ。
しかし貴族は激怒した!!貴族が平民に謝るのは最大の屈辱。
この世界ではそんな常識がある。
そして貴族も先ほどの光景を見ていたにも関わらず、斬りかかって来たので。そのまま液化を発動。
先ほどのピンクの液体×2の出来上がり。
そして冒頭に戻るのだが。
今日はじめてチートスキルに目覚めて、まだ数時間。今後はこのチートスキルで冒険者ランクを駆け抜けるつもりだったのに、初日からこの展開だ。
俺は絶対に悪くない。そもそも何も盗んで無い濡れ衣で殺されかけた。
元の世界なら間違いなく正当防衛だが。
この世界では平民が貴族を殺せば、理由に問わず本人と家族が死刑になる。
つまり、俺だけでは無く。両親と兄も死刑になってしまう。
今回の件は何が何でも
そこで考えたのが、事件を大きくすればバレない作戦。
貴族の家が建っている地盤を液化させてみた。
この液化で、見事に貴族の家が沈んでいった。
沈むまでにある程度時間があった為、他の雇われた人たちに被害は無かったようだ。
そして俺は家が沈むタイミングでバレないように抜け出してギルドへ。
ギルドには今回の件を嘘も交えて説明、そもそもが俺が貴族の家を沈下させたと思うやつなどいるはずも無く。無事完全犯罪完了。
あくまで正当防衛だけどね。
そんな訳で濃い1日だったが【何でも液化】がチート過ぎるスキルであることは間違いない。
戦うすべがない人間は基本【銅以上】のランクにはなれない。
俺も今は【石ランク】だが、後数年日雇いの仕事を続ければ【銅ランク】までは上げれるが、それで終わりだ。
だが、今の俺には最高の武力がある。
武力と言うより、液化は無限の可能性がある。
まだスキルをもらった時に言われた言葉や、何で転生したのかは記憶を取り戻しても分からないので、その辺を紐解きながら。
とりあえず、チートスキルで俺つぇ〜連発させて。白金ランクでも目指そうかな。
何でも液化チートが強すぎて、正当防衛と言う名の犯罪も無かったことに出来そうだ。 るるかチャンネル @rurukada
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます