助け舟
342 名前:名無しさん@実況禁止
なんかリベルタスの新人、放送事故してる
346 名前:名無しさん@実況禁止
たまに嬉しそうにリスナーの名前呟いてる
348 名前:名無しさん@実況禁止
なにしてんのこれ?
352 名前:名無しさん@実況禁止
>>348
リスナーの名前全部覚えようとしてる説が濃厚
356 名前:名無しさん@実況禁止
俺も次の配信からちゃんとコメントするわ
こいつかわいい
357 名前:名無しさん@実況禁止
あざとい
363 名前:名無しさん@実況禁止
流石にわざとやろ
368 名前:名無しさん@実況禁止
初配信見たけど多分これが素だぞ、この子
368 名前:名無しさん@実況禁止
周君はお姉ちゃんが守ってあげるからね!hshs
370 名前:名無しさん@実況禁止
なんだこのショタコン……
◇◇◇
コメントを流しはじめて1時間ぐらいがたった。
何度かコメントくれてる人もいるけど、それでも膨大な人の数で、あっという間に紙が真っ黒になってしまった。
「こんなに来てくれてたんだ……、ふふ」
よし、今日中には終わらないかもしれないけど、頑張って覚えよう!
仕事終わりにここに寄ったら、また見せてもらえるかなぁ……?
大きく腕を上げて体を伸ばすと、血が体中に廻った気がして気持ちがいい。
よし続きだ。
ペンをもってキーボードに手を伸ばしたところで、部屋の中に風が流れ込んできた。
何かと思ってドアの方を見ると、美乃梨さんが怖い顔をして仁王立ちしてる。
「あれ、待っててくれたんですか? ごめんなさい、み」
つかつかと歩いてきた美乃梨さんは、後ろから僕の口を手でふさいでくる。
羽交い絞めされているような状態だ。
なんだろう? 僕、何か怒らせるようなことしたかな?
待ってたのにいつまでも出てこないから?
「いいか、あまね、あたしは
よくわからないくて固まってると、美乃梨さんがさらに続ける。
「お前、さっきから配信ついてるんだよ。パソコンわかんない癖にいじくりまわしただろ。で、私はくー子だ、わかるよな?」
ああ、そういうことか!
それで美乃梨さんの名前を出しちゃいけないから、慌てて口をふさがれたんだ。
僕が頷くと、美乃梨さんの手が放される。
「えっと、くー子さん、これ配信されてるんですか? いつから?」
「知らねぇよ。周のこと待ってる間スマホいじってて、ついでにお前のチャンネル登録しとくかって思って開いたら、わけわかんねー配信してるから止めに来たんだよ」
「そうなんですか、ええ……、ということはこれも全部聞こえてるんですよね」
「そうだな」
じゃあさっきから無言を垂れ流してたってことになるんだろうか。
折角今日たくさん来てくれたのに、とんでもないことをしてしまった。
「あの!」
立ち上がってマイクに近づき、せめて今見てくれている人に語り掛ける。
「すみません、僕が操作慣れてないせいで、何もない配信をしてしまって……! 次はちゃんとやりますので、もしよかったらその時にまたいらしてください。ええっと、あ、でももういなくなっちゃった人もいますよね、すみません、本当に……」
「……いや、多分結構見てるぞ。SNSのトレンドになってたし」
「えすえぬえすのとれんど?」
「周、お前マジで何も知らないよな。ああ、3万人くらいいるぞ、すげぇな」
「3万人……?」
「おう、お、増えた。ほら、コメント見ろよ」
『謝らなくていいよ』
『お、やっと気づいた』
『乱入びびったわ、強盗でも来たのかと思った』
『くー子さんも知り合いなのか』
『おーい、周くん、見てるー?^^』
『毎秒作業配信して』
『ショタコンどもきめぇwww』
『そういうお前は何でここにいるんだよ』
『周君、私の名前も覚えて!』
3万人って、3万人?
コメントを見ていて、数十人じゃきかない人数がきてくれているのはわかっていたけれど、思っていたのと桁が違う。
さっき配信していた時よりも猛烈な速さでコメントが下から上へ流れて消えていくので、とてもじゃないけれど追いきれない。
「何を、見てくれてたんでしょうか? あの、ありがとうございます……?」
「知らね。いいから配信きれよ」
「み……、くー子さん、これどうやったら配信終わるんですか?」
「お前、マジで知らないのか」
「はい、すみません」
「ったく、しょうがねぇなぁ」
がりがりと頭をかいてから、美乃梨さんは体を乗り出してマウスに手を置いた。
座っている僕のすぐ横に美乃梨さんの顔がきて、なんだかちょっとどぎまぎしてしまう。
「おい、終わっていいんだよな? なんか言うことねぇの?」
「あ、そうでした。皆さん、変な配信だったのに来てくださってありがとうございました。今度こそ失礼いたします」
「かてー挨拶。んじゃ、配信終わり、そんじゃな」
かちっとマウスの音が部屋に響いて、どうやら配信が終わったようだ。
それにしても本当に驚いた。
やっぱりわからないもの勝手に触ったらダメなんだ。画面が見えなくなっちゃった時点で、藤崎さんに助けを求めればよかった。
勝手なことをしてしまったこと、謝りにいかないと……。
そんなことを考えていると、急に頭をガシガシと揺らされる。
多分美乃梨さんが乱暴に頭を撫でてくれているんだ。
「そんな落ち込むんじゃねぇよ。チャンネル登録も増えたし、結果オーライだろ」
「藤崎さんに申し訳なくて……謝りにいかないと。……あと、チャンネル登録って何ですか?」
「……まぁ、いいか。しゃーねーから一緒に謝りに行って……うお、なんだあいつら!?」
「え?」
変な声を上げた美乃梨さんにつられてドアを見ると、はめ込まれた窓ガラスに、見慣れた顔が二つ並んでいた。
なんだか怒っている輝夜。
そしてなんだか表情が消えている白波さん。
……ちょっと部屋を出るのが怖いかもしれない。
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